著者
大豆生田 啓友
出版者
公益財団法人 医療科学研究所
雑誌
医療と社会 (ISSN:09169202)
巻号頁・発行日
vol.27, no.1, pp.89-97, 2017-05-25 (Released:2017-06-13)
参考文献数
12

本論文では,子ども子育て支援新制度以降の自治体において取り組まれている子育て支援および保育の動向から,その意義と課題について考察した。1では,子ども・子育て支援新制度の目的を概説し,地方版の子ども・子育て会議を置くことを努力義務として位置付けられていることが,各自治体が独自の子育て支援の事業計画を作るチャンスであることを述べた。自治体の取り組みの調査では,その会議において,子育て当事者などの委員が意見を出しやすい雰囲気があることや,専門部会やワーキンググループを設置することなど市民参画が重要な傾向としてあげられたことを紹介した。2では,先進自治体の事例を紹介した。東京都墨田区では,委員による話し合いによる合意形成を行う取り組みや,幼稚園および保育所が協働した保育の質の向上の取り組みについて取り上げた。東京都世田谷区では,区の住民が主体的に行う子ども・子育て会議の取り組みと,保育ガイドライン作成について取り上げた。埼玉県和光市は,妊娠や出産からの切れ目のない子育て支援を行う「ネウボラ」の実践について取り上げた。神奈川県・横浜市では,利用者支援事業の取り組みと,幼保小の取り組みおよび保育の質向上の実践について取り上げた。3では,2での先進自治体の取り組みを通して,今後の自治体の取り組みのポイントとして,3点について考察した。第一は,市民の参画による自治体力の育成について考察した。第二は,産前から産後までの切れ目のない包括的な支援体制について考察した。第三には,乳幼児期の教育・保育の質向上の体制づくりについて考察した。

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