著者
小原 博
出版者
一般社団法人 国立医療学会
雑誌
医療 (ISSN:00211699)
巻号頁・発行日
vol.58, no.3, pp.143-148, 2004-03-20 (Released:2011-10-07)
参考文献数
15

2002年11月に中国広東省で発生した重症急性呼吸器症候群(SARS)はベトナムと中国で流行を起こし(最終的な患者数はベトナム63例, 中国5,327例), その後多くの国々に拡散し合計8,439例の患者が発生した. ベトナムは徹底した隔離と適切な院内感染対策を迅速に実施し, 正しい情報のもとに外国の支援を受け入れ, 世界に先駆けてSARS制圧に成功した. 中国では初期対応の遅れや情報の非公開などの理由により院内感染が多発し感染が拡大したが, 後に国家の指導下に有効な施策を強力に展開し制圧に至った. 日本政府もベトナム・ハノイ市及び中国・北京市・広東省に対し緊急援助隊を派遣するなどして主に院内感染対策の面から協力した.本疾患は患者発生の初期段階から速やかに有効な対応策を講じることが重要である. そのためには, 流行が起きてから院内感染対策を開始するのではなく, 普段から医療従事者の訓練を行い, 基本を充実させるとともにシステムを構築しておくことが大切である.

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ベトナム・中国におけるSARSの流行と対策 小原 博 #jwave #jamtheworld 2020/12/03 https://t.co/cN1g8DAG4p
ベトナム・中国におけるSARSの流行と対策 「流行が起きてから院内感染対策を開始するのではなく、普段から医療従事者の訓練を行い、基本を充実させるとともにシステムを構築しておくことが大切である」 平時には感じぬシミジミ感。 ただ役には立ちそうな気がする。 https://t.co/aNEcNbUkih https://t.co/KUSOxl6M9f

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