著者
鈴木 創
出版者
日本選挙学会
雑誌
選挙研究 (ISSN:09123512)
巻号頁・発行日
vol.35, no.2, pp.38-53, 2019 (Released:2022-09-12)
参考文献数
27

投票率は選挙結果にいかなる影響を及ぼすだろうか。日本において広く受け入れられている見方は,組織化と動員を投票参加の主要因とみなし,高い投票率は組織的な支持基盤を持つ政党には不利に,無党派層・浮動層に依存する政党には有利に働くとする。本稿は,2001 ~ 2014年に行われた 10回の国政選挙における投票率の党派的効果を推定する。推定結果は「常識的」な見方を支持せず,組織化と動員が投票率効果の因果メカニズムの一部に過ぎないことを示唆する。また,推定結果は,投票率の効果が参院選と衆院選で異なることを示す。たとえば,自民党得票率に対する効果は,前者では正,後者では負の傾向がある。こうした違いは,投票率の効果が投票者の党派構成の変化だけでなく, 政党支持層の離反率の変化からも生じることを意味している。

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「投票率の増加は,自民党得票率に対して, 与党時の衆院選では負の効果を,与党時の 参院選では正の効果を持つ傾向がある」 日本の国政選挙における投票率の党派的効果 (鈴木 創) https://t.co/KJZx1XjZEb https://t.co/aNDBYSKIuR
過去の選挙と投票率の研究から、投票率の高さが必ずしも左派政党に有利とは言えないという結果もあるが、保守派を震撼させたであろう結果が2023年4月の統一地方選挙で出た。 1.7倍に急増、女性当選「過半数」の東京・杉並区議選 その背景 2023/5/2 https://t.co/yl86woKnk7 https://t.co/96eKzWGV9t
"投票率の上昇が左派政党に有利に働き,右派政党に不利に働くという欧米での伝統的理解もまた,日本の選挙には妥当しないというべきである…社会経済的地位が高い人が右派政党を支持し,低い人が左派政党を支持するという,この見方が依拠する前提は日本では成立していない" https://t.co/vsvxfTDTsJ
これは興味深い結論。高投票率がもたらす結果は半ば構造的に推察しうる、との主張か。>「投票率の党派的効果が(非体系的な要因から生じているのではなく)各党支持層の参加傾向と規模という基礎的な条件に起因することを物語っている」 https://t.co/UuC5ksIqTA

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