著者
櫻田 怜佳
出版者
社会言語科学会
雑誌
社会言語科学 (ISSN:13443909)
巻号頁・発行日
vol.21, no.1, pp.191-206, 2018-09-30 (Released:2018-12-26)
参考文献数
28

本研究は,アメリカ英語母語話者と日本語母語話者のパブリック・スピーチに現れる構成と言語表現を分析することを通して,各言語話者のスピーチに見られる傾向を明らかにし,その背景にあると考えられる語り手と聴衆の関係を考察することを目的とする.書き言葉においては,これまで多くの対照研究がなされており,言語文化によって文章の構成に異なりがあることが明らかにされている.一方,話し言葉では語り手が自由にアイデアを語るパブリック・スピーチを扱った対照研究は未だ少ない.本稿は,TED Talksをデータとして用い,1) スピーチの構成と2) 使用されている言語表現の2つの側面から,各言語話者が行うスピーチの傾向を比較分析する.さらに,分析の結果から,パブリック・スピーチにおいて語り手と聴衆はどのような関係であるかについて論じた.結果として,英語母語話者は,聴衆に情報の確実性を強調する傾向が見られ,語り手はあたかも「リーダー」のように聴衆を先導する関係が見られた.一方,日本語母語話者には,語り手と聴衆の一体化や知識の共有化という傾向が見られ,語り手は聴衆の「パートナー」のように同行するという関係が見られた.

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