著者
中野 綾美
出版者
公益社団法人 日本看護科学学会
雑誌
日本看護科学会誌 (ISSN:02875330)
巻号頁・発行日
vol.14, no.4, pp.38-50, 1994-06-30 (Released:2012-10-29)
参考文献数
32

本研究は, 慢性疾患とともに生きる青年のノーマリゼーション現象がどのようなものであるかを明確にすることを目的とした。慢性疾患のために現在外来通院を行っている中学生・高校生 30 名を対象に, 面接法によりデータを収集し, 質的分析を行った。分析の結果, ノーマリゼーションを形づくる局面として (1) 病気とともにある自己を形成する局面 (2) 状況判断の局面 (3) ノーマリゼーション行動の局面という3つの局面が抽出された。ノーマリゼーションは, 4 つの段階を経てプロセスをなして進展していた。青年は, ノーマリゼーションのプロセスが進展するに従って, 独自に生み出したノーマリゼーション行動を駆使しながら日常生活を営み, 健康な自己と病気の自己という分裂した自己を持つ苦悩を乗り越え, 統合した自己を確立していた。本究結果から, ノーマリゼーションを「病気とともにある自己をふまえて, 個人が自ら作り出した判断基準に基づき現実を検討して, 自らの生活を普通の生活に近づけ, 社会的に生きていくための戦略を創造していく過程である」と提案する。

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