著者
麻柄 啓一 進藤 聡彦
出版者
日本教授学習心理学会
雑誌
教授学習心理学研究 (ISSN:18800718)
巻号頁・発行日
vol.8, no.2, pp.67-76, 2012-12-18 (Released:2017-10-10)

本研究では「徳川幕府は全国の大名から年貢を取っていた」という誤った認識(麻柄,1993)を取り上げる。高校の教科書では,例外として一定期間「上げ米(大名がその石高の1%を徳川家に差し出す)」が行われたことが記述されている。ここで,「○○の期間には××が行われた」(命題a)に接したとき,これを「○○以外の期間には××は行われなかった」という形(命題b)に論理変換できれば,先の誤りは修正される可能性がある。実験1では大学生62名を対象にこの関連を検討したところ,年貢の行方を問う問題(標的問題)での正答者は誤答者より,命題の変換に優れている傾向が示唆された。実験2では大学生34名を対象に,論理変換を援助することにより誤った認識の修正が図られるか否かを検討した。その結果,援助が誤った認識の修正を促進する効果をもつことが確かめられた。知識表象を変形することは操作と呼ばれるが(工藤, 2010),上記の論理変換も操作の1つであり,操作の成否が誤った認識の修正に関わることを示すものとなった。

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[歴史] 面白すぎる。

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これメチャクチャ面白い。 「加賀の農民の差し出した年貢は誰の手に わたったか」(中略)大学生32名のう ち「農民の差し出した年貢は前田家のもの」(正解 )を選んだ者は2名(6%)に過ぎず,多くの者は「農民は前田家に納め ,前田家はその一部を徳川家に納めた」を選んだ https://t.co/X0Fy2xWZP9

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