著者
鈴木 匡子
出版者
日本コミュニケーション障害学会
雑誌
聴能言語学研究 (ISSN:09128204)
巻号頁・発行日
vol.13, no.3, pp.222-230, 1996-12-25 (Released:2009-11-18)
参考文献数
9

喚語困難は,語産生,語選択,語義の各過程およびこれらの離断によるものの4種類に分けられる.喚語困難の種類と臨床的な失語症の分類とはほぼ対応しており,それぞれの喚語困難の解剖学的基盤は異なっていると考えられる.さらにPETによる正常人の研究から,呼称をする対象のカテゴリーによって脳の活動部位が異なることが報告されている.我々の施行したカテゴリー別視覚性呼称課題では,失語群で有意に成績が低下していたが,身体部位と野菜では有意差がなかった.語想起課題では,(1)流暢性失語と非流暢性失語で有意差がない,(2)左前頭葉病変群は左前頭葉病変のない群に比べて,身体部位,甘いもの以外で成績が低下していた.また我々の経験した語義失語例では,喚語困難と単語の聴覚的理解障害がみられたが,身体部位の呼称と指示は比較的保たれていた.単語の成立基盤はカテゴリーにより異なるため解離性の喚語困難が生じると考えられる.

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失語の喚語困難と前頭葉機能としての語想起の違いは何なの https://t.co/a1nPQnmWCZ

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