著者
緒方 康介
出版者
日本犯罪心理学会
雑誌
犯罪心理学研究 (ISSN:00177547)
巻号頁・発行日
vol.51, no.1, pp.1-11, 2013-10-31 (Released:2017-07-30)
参考文献数
22

児童虐待の被害児が示す知能プロフィールの発達的変遷を記述することを目的に調査を行った。最終的に義務教育課程の児童データ493名分を収集した。虐待群と対照群を,それぞれ小学校低学年,高学年,中学生の3つの学齢に分類し,横断的方法により発達変化を分析した。WISC-IIIの検査結果に対して多母集団同時分析で因子構造の相違を調べ,被虐待児特有の潜在的な知能特徴をいくつか検出した。引き続き,クラスタ分析で各学齢における下位分類を行い,群指数に基づくいくつかの典型的なパターンを示した。以上の結果を被虐待児の発達的変遷という観点から考察し,方法論上の限界ゆえに平均値としての知見にとどまることを踏まえたうえで,一定の臨床的参照点が得られたものと結論された。

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