著者
長橋 聡
出版者
一般社団法人 日本発達心理学会
雑誌
発達心理学研究 (ISSN:09159029)
巻号頁・発行日
vol.24, no.1, pp.88-98, 2013-03-20 (Released:2017-07-28)

本研究ではVygotskyのごっこ遊び論をもとに,そこに空間構成という観点を加えて,幼児のごっこ遊びを分析した。S市内の保育施設をフィールドとして観察を行い,そこで2か月にわたって行われた協同的なごっこ遊び「病院ごっこ」の生成過程を検討した。同時に,子どもたちが「病院ごっこ」の遊びのために遊び空間を積木などで作っていく過程も微視的に分析した。初期の「病院ごっこ」には役の分担やストーリー性はみられなかったが,子どもたちが遊びの中で新しいモノを加えたり,「病院」内の空間構成を作り変えていったことによって,「病院ごっこ」での活動は複雑でストーリー性を伴ったものになっていき,子どもたちは「病院ごっこ」の遊びのシナリオのための役を演じるようになっていった。このことから,子どもたちが協同的な遊びでストーリー性のある行為展開をすることと,道具を使って「病院」としての遊び空間を作っていくこととは相互規定的な関係になっていることを議論した。

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