著者
三浦 覚
出版者
THE JAPANESE FORESTRY SOCIETY
雑誌
日本林学会誌 (ISSN:0021485X)
巻号頁・発行日
vol.82, no.2, pp.132-140, 2000-05-16 (Released:2008-05-16)
参考文献数
36
被引用文献数
12

林地表層における雨滴侵食保護に関わる林床の被覆状態を明らかにするために,林床植生および堆積リターの両者による総合的な被覆指標として林床被覆率を新たに定義し,急傾斜地にあるヒノキ,スギ,アカマツ,落葉広葉樹林の林床の被覆状態を評価した。その結果,スギ,アカマツ,落葉広葉樹林の林床被覆率は,林齢によらず常に90%以上で高かった。一方,ヒノキ林の林床被覆率は,10~20年生の幼~若齢期に著しく低下し,40年生前後の壮齢期に林床植生が回復し始めるまで低い状態が続いた。林床被覆率を支配する因子は,スギ,アカマツ,落葉広葉樹林では堆積リターであったが,ヒノキ林では林床植生であった。林床被覆率とこれに対する林床植生および堆積リターの寄与の強さは,樹種や林齢によって大きく変化する。したがって,林床の被覆状態を評価するためには,林床植生と堆積リターの消長の特質を明らかにし,林床被覆率のように両者による被覆を一体として捉えうる指標を用いる必要がある。

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スギとヒノキって同じように扱われることが多い。 しかしスギは、下草生えなくても落ち葉が堆積しやすいから、表面侵食は起きにくい

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