著者
渡邊 衡一郎
出版者
一般社団法人 日本総合病院精神医学会
雑誌
総合病院精神医学 (ISSN:09155872)
巻号頁・発行日
vol.25, no.3, pp.262-267, 2013-07-15 (Released:2016-12-28)
参考文献数
19

うつ病治療において認知行動療法(CBT)が保険適応となり,改めて非薬物療法的アプローチが注目されている。本稿ではうつ病を例にとり,非薬物療法的アプローチの国内外のガイドラインにおける位置づけと,実臨床への応用の可能性について言及した。国内外のうつ病治療ガイドラインを概観すると,薬物療法は中等症例以上では推奨されているが,軽症例では次善の策に位置しており,むしろ当事者を適切な方向に導くような非薬物療法的アプローチが推奨されている。さらには当事者の背景や希望・嗜好などによって治療アプローチが決められることが望ましいとされる。その決め方としては,当事者と治療者がともに治療方針を決定するShared Decision Making (SDM)が推奨される。当事者が「安心・満足・納得」し,その結果レジリエンス(自己回復力)を刺激するようなアプローチこそ意義があると考える。今後,当事者を安心させる支持的精神療法の重要性も認識しつつ,より多くの非薬物療法的アプローチをわれわれ臨床医が治療選択肢に加えられるよう努めなければならないだろう。

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