著者
久田 孝
出版者
一般財団法人 日本健康開発財団
雑誌
日本健康開発雑誌 (ISSN:2432602X)
巻号頁・発行日
vol.39, pp.22-29, 2018 (Released:2019-10-26)
参考文献数
8

背景・目的 日本国内の沿岸地域で、海藻風呂、特にカジメ風呂が伝統的に利用されてきた。カジメ類はミネラル、海藻ポリフェノール含量が高く、機能性食品の素材として非常に有望である。これらの機能性成分は海藻風呂でも有効と考えられるが、まだ詳細な検討はされていない。そこで本研究では、これらの機能性成分について、海藻風呂濃度での生理活性を明らかにすることを目的とした。方法 文献やウェブ情報より全国で海藻風呂を提供している機関、使用法、現地の様子を調査した。乾燥アラメEisenia bycyclisの熱水抽出液について、海藻風呂濃度における表皮菌数、肌水分に及ぼす影響、また抗酸化特性を検討した。結果 千葉県、茨城県、三重県、石川県などでカジメ風呂が提供されており、太平洋側ではアラメが多く使用されている。アラメ風呂の濃度において、粘度、抗菌性、肌水分に及ぼす影響は顕著ではなかったが、抗酸化性、特にスーパーオキシドアニオン (O2-) ラジカル消去能は顕著であった。考察 O2-ラジカルは生体内で最初に発生する活性酸素で、その抑制が活性酸素による様々な損傷から細胞を保護すると考えられている。今回示されたカジメ風呂濃度でも十分にその機能が期待できることから、今後、表皮における O2-ラジカル消去能が実際の肌および身体全体の健康に及ぼす影響について検討する必要がある。

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