著者
鶴田 智
出版者
法と心理学会
雑誌
法と心理 (ISSN:13468669)
巻号頁・発行日
vol.20, no.1, pp.128-140, 2020 (Released:2022-11-01)

本研究は、犯罪者に対する法的制裁と社会的制裁の相補性に着目し、法の素人と司法の量刑判断の差が素人の「社会的制裁意図」に及ぼす影響を明らかにする目的で行った。一般的に、犯罪者が受ける制裁は、法的制裁と社会的制裁に分けられる。先行研究では、法的制裁と社会的制裁の間には、どちらか一方が減少することによって、他方が増加するという相補的な関係があると指摘されている。本研究は、その可能性を検証するために、大学生を対象とした実験を行った。実験では、まず参加者に犯罪事件のニュース記事を提示し、犯罪者に対する量刑を判断してもらった。次に、司法の量刑判断の結果を提示し、犯罪者に対する「社会的制裁意図」などへの回答を求めた。その結果、参加者の量刑判断と比べて、司法の量刑判断が足りていないほど「社会的制裁意図」が強まり、法的制裁と社会的制裁の相補性の原理に基づく判断が確かめられた。本研究により、法的制裁は社会的制裁の抑制要因になりうるという知見が得られた。

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これは事例と法定刑を被験者に示して、被験者が考える量刑と実際の判決に差があった場合に被験者が抱く心情を分析したもの メディアを通して情報を得ることで、増幅されることも緩和されることもあるだろうな 素人と司法の量刑判断の差が 社会的制裁意図に及ぼす影響の検討 https://t.co/xiQO6SXOAB

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