著者
大森 史隆 水本 豪 橋本 幸成
出版者
日本音声言語医学会
雑誌
音声言語医学 (ISSN:00302813)
巻号頁・発行日
vol.63, no.1, pp.13-22, 2022 (Released:2022-01-28)
参考文献数
10

慢性期失語症例に対し,仮名1文字の書取訓練(40分/回,計35回,約4ヵ月半)において単音節語からなる漢字1文字をキーワード,漢字1文字を初頭に含む複合語等をヒントとして用いた.その結果,平仮名44文字中,書取可能な文字数が9文字から31文字に増加した.仮名1文字の書取には,キーワードの書字やヒント想起の可否がかかわっていた.仮名1文字の書取の成否に影響を及ぼす文字特性を検討した結果,キーワードとして用いた漢字の画数が有意であった.書取可能となった平仮名31文字を組み合わせて2文字単語20語の書取訓練(40分/回,計14回,約2ヵ月)を実施した結果,書取可能単語数は3語から17語に増加した.両訓練は,モーラ分解・抽出の必要がない単音節の漢字1文字単語をキーワードとして用いたため,音韻処理障害のある本例に有効であった.訓練に際しては,漢字の画数に留意し,文字数の少ない単語を用いる必要性が示された.

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掲載から1年が経ち、非会員の方も閲覧できるようです。 慢性期失語症の方の訓練経過 何より患者さんが頑張ってくれました。 仮名1文字の書取能力向上のために漢字1文字単語をキーワードとした訓練の有効性 https://t.co/qLfDYBs0lB

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