- 著者
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東 英一
- 出版者
- 特定非営利活動法人 日本小児血液・がん学会
- 雑誌
- 日本小児血液学会雑誌 (ISSN:09138706)
- 巻号頁・発行日
- vol.19, no.6, pp.566-577, 2005-12-31 (Released:2011-03-09)
- 参考文献数
- 72
造血細胞移植を行うと移植前処置の影響で長期間にわたる深い免疫不全状態となる.この期間と重症度に影響を及ぼすのは, T細胞除去などの造血細胞処理, 造血細胞移植の種類 (ドナーの種類とドナー源), 移植片対宿主病の出現, 年齢依存性の胸腺機能の回復などである.免疫不全状態は感染症や白血病再発による有病率と死亡率を上昇させる.自然免疫の早期回復は多くの病原体から防御するのに役立つが, メモリー機能をもつT細胞とB細胞の獲得免疫の低下が数カ月から1~2年続くので病原体への易感染性が持続する.本稿では免疫再構築の知見の現況について述べる.