著者
湯田 厚司
出版者
日本鼻科学会
雑誌
日本鼻科学会会誌 (ISSN:09109153)
巻号頁・発行日
vol.54, no.4, pp.503-508, 2015 (Released:2015-12-22)
参考文献数
14
被引用文献数
1

スギ花粉症の多くにヒノキ花粉症を合併するが,スギ花粉症の免疫療法がヒノキ花粉症に効果的とは限らない。【目的】スギ花粉の舌下免疫療法がヒノキ花粉症にも有効かを検討する。【方法】ヒノキ花粉症合併のスギ花粉症に舌下免疫療法を行った55例を対象とした。本検討の舌下免疫療法は季節前季節中投与法で,維持期に週1回(スギ花粉2000JAU)投与である。スギとヒノキ花粉の飛散期に1週間を単位とするくしゃみ,鼻汁,鼻閉の3項目の10cm長のvisual analog scale(VAS)を検討した。スギまたはヒノキ花粉の飛散期で最も悪かったVASを採用した。【結果】スギ花粉期のVASは0cm 11例(20.0%),1cmまで19例(34.5%),2cmまで22例(40.0%)と良好であった。VAS平均ではスギ花粉期(3.6±3.2cm)はヒノキ花粉期(2.6±2.7cm)より大きかったが有意ではなかった。VASがスギ花粉期よりヒノキ花粉期に少しでも悪化した例は20例(36%)であった。スギ花粉に効果的と想定したVAS 2cmまでの22例でヒノキ花粉期のVASをみると,引き続き良好が9例,ごく少し悪化が5例,明らかに悪化が8例であった。ヒノキ花粉期に悪化した例の背景因子に明らかに相関する因子はなかった。【結論】スギ花粉症の舌下免疫療法はヒノキ花粉症に効果的な例と効果不十分の例があった。

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毎年多額の医療費が花粉症に使われてるので、個人差もあるけど自分みたいに「1年でほぼ完治する人もいる」とか、本人にとっても社会にとってもすごいメリット大きい。なお原理的にはスギに効果あるものだけど、症例報告レベルでは多少はヒノキにも効くかも?と示唆されてる。https://t.co/Mil5JrQz9K
スギ花粉症に対する舌下免疫療法のヒノキ花粉症への効果(湯田 厚司)https://t.co/DhPSgXQ966
「錠剤を飲んで花粉症を完全に治す」は言い過ぎではないでしょうか。私はスギ花粉とヒノキ花粉で症状が出ますが、現在舌下免疫療法で用いられているのはスギアレルゲンエキスのみ。ヒノキ花粉症患者に舌下免疫療法を行った所、ヒノキ花粉症への効果は限定的との報告もあります https://t.co/FAPkwaaF7d https://t.co/Zme0mn3W0r

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