著者
湯田 厚司 小川 由起子
出版者
一般社団法人 日本アレルギー学会
雑誌
アレルギー (ISSN:00214884)
巻号頁・発行日
vol.62, no.12, pp.1623-1630, 2013-12-30 (Released:2017-02-10)

点鼻用血管収縮(α交感神経刺激)薬の長期使用による薬剤性鼻閉の臨床検討をおこなった.【対象背景と治療法】2011年10月から15カ月間に治療した33例(男性23例,女性10例,平均44.4±15.6歳)の背景因子と追跡し得た31例の治療成績を解析した.薬剤使用期間は最長7.5年で,1年未満が7例のみ,2年以上が16例(48.5%),5年以上が6例であった.原因疾患は,急性炎症6例,慢性副鼻腔炎2例,アレルギー性鼻炎20例(うち10例スギ花粉症)であった.治療は,点鼻液を中止して代替薬にステロイド鼻噴霧液を使用した.【結果】全例で点鼻用血管収縮薬から完全離脱して鼻閉が改善した.19例(61.3%)が3日以内で,25例(80.6%)が1週間以内で改善し,早期改善例が多かった.背景因子および薬剤使用期間と改善までの期間に関連が無く,長期使用例でも早期に改善した.問診での本薬の使用申告は36.4%であり,注意深い診察が必要であった.【結論】本薬による薬剤性鼻閉は可逆的な病態であり,適切な指導により改善しやすい.
著者
湯田 厚司 小川 由起子 鈴木 祐輔 有方 雅彦 神前 英明 清水 猛史 太田 伸男
出版者
一般社団法人 日本アレルギー学会
雑誌
アレルギー (ISSN:00214884)
巻号頁・発行日
vol.64, no.10, pp.1323-1333, 2015 (Released:2015-12-29)
参考文献数
11

【背景】本邦初のスギ花粉症舌下免疫療法(SLIT)薬が発売された.  【目的】スギ花粉症SLITの初年度の臨床効果を検討する.  【方法】初年度(2015年)のスギ花粉飛散ピーク時にSLIT191例,皮下免疫療法(SCIT)48例(治療開始後1年目の他に36例の2年目以降を含む),初期療法191例,飛散後治療141例,未治療169例で,日本アレルギー性鼻炎QOL調査票,visual analog scale,各症状スコアおよび症状薬物スコアで評価した.  【結果】軽微な副反応を40.5%に認めたが,治療中止例はなかった.ドロップアウトは5例(2.2%)で,やむを得ない理由での中断が3例(1.3%)であった.薬剤服用率は89±12%であった.ほぼ全ての項目の平均値でSCITはSLITより良かったが有意な差ではなかった.SCITとSLITは他の薬物療法より有意に良好であった.併用薬の無い,鼻眼症状スコアが1点以下の例はSLITの16.8%であった.  【結語】SLITは,SCITより若干効果で劣るが有意ではなく,初期療法などの薬物治療より有意に良好であった.
著者
湯田 厚司
出版者
一般社団法人 日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会
雑誌
日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会会報 (ISSN:24365793)
巻号頁・発行日
vol.125, no.7, pp.1071-1077, 2022-07-20 (Released:2022-08-11)
参考文献数
18
被引用文献数
1

舌下免疫療法 (SLIT) は発売から7年が経過し SLIT 治療数は増加している. SLIT の小児適用は日本のみで, ダニ SLIT が世界で初めて認可された治療先進国である. 小児 SLIT は, 成人と同スケジュールで行い, 効果も安全性も成人と差がない. スギ SLIT は現在シダキュアとなり, 抗原量増加で副反応が若干増えたが, 効果も増強したと考える. 重篤な副反応はまれで, 著者の1,800例の自験例の中で, 夜間の緊急連絡例は患児の弟が誤薬した1回のみであった. 事後報告として喘息既往歴のある低年齢児が疲れた状態での服用により喘息発作を誘発した例がある. スギ花粉とダニの併用 SLIT (Dual SLIT) の報告は世界でこれまでなかったが, 筆者の自験例53例と多施設共同前向き109例の検討で安全な併用が確かめられ, 当院では200例を超える Dual SLIT を行っている. スギ花粉 SLIT でアレルゲン感作数と効果を検討し, 単独感作と多重感作例で効果に差がなかった. 自験例でスギ花粉 SLIT 終了後の10年間に効果持続した例があり, 長期成績への大規模調査が期待される. SLIT 課題もまだあり, 当院では全国医療機関と共同研究を行い, ヒノキ花粉 SLIT 実現への AMED 研究も始まった.
著者
湯田 厚司
出版者
日本鼻科学会
雑誌
日本鼻科学会会誌 (ISSN:09109153)
巻号頁・発行日
vol.54, no.4, pp.503-508, 2015 (Released:2015-12-22)
参考文献数
14
被引用文献数
1

スギ花粉症の多くにヒノキ花粉症を合併するが,スギ花粉症の免疫療法がヒノキ花粉症に効果的とは限らない。【目的】スギ花粉の舌下免疫療法がヒノキ花粉症にも有効かを検討する。【方法】ヒノキ花粉症合併のスギ花粉症に舌下免疫療法を行った55例を対象とした。本検討の舌下免疫療法は季節前季節中投与法で,維持期に週1回(スギ花粉2000JAU)投与である。スギとヒノキ花粉の飛散期に1週間を単位とするくしゃみ,鼻汁,鼻閉の3項目の10cm長のvisual analog scale(VAS)を検討した。スギまたはヒノキ花粉の飛散期で最も悪かったVASを採用した。【結果】スギ花粉期のVASは0cm 11例(20.0%),1cmまで19例(34.5%),2cmまで22例(40.0%)と良好であった。VAS平均ではスギ花粉期(3.6±3.2cm)はヒノキ花粉期(2.6±2.7cm)より大きかったが有意ではなかった。VASがスギ花粉期よりヒノキ花粉期に少しでも悪化した例は20例(36%)であった。スギ花粉に効果的と想定したVAS 2cmまでの22例でヒノキ花粉期のVASをみると,引き続き良好が9例,ごく少し悪化が5例,明らかに悪化が8例であった。ヒノキ花粉期に悪化した例の背景因子に明らかに相関する因子はなかった。【結論】スギ花粉症の舌下免疫療法はヒノキ花粉症に効果的な例と効果不十分の例があった。
著者
草野 佑典 太田 伸男 湯田 厚司 小川 由起子 東海林 史 粟田口 敏一 鈴木 直弘 千葉 敏彦 陳 志傑 草刈 千賀志 武田 広誠 神林 潤一 志賀 伸之 大竹 祐輔 鈴木 祐輔 柴原 義博 中林 成一郎 稲村 直樹 長舩 大士 和田 弘太 欠畑 誠治 香取 幸夫 岡本 美孝
出版者
一般社団法人 日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会
雑誌
日本耳鼻咽喉科学会会報 (ISSN:00306622)
巻号頁・発行日
vol.123, no.6, pp.469-475, 2020-06-20 (Released:2020-07-01)
参考文献数
14

スギ花粉症に対する舌下免疫療法薬が2014年に発売されてから4シーズンが経過したが, 実臨床における診療の実態は不明な点が多い. 2016年, 2017年にも同様の調査を行い報告してきたが, 今回2018年花粉飛散シーズン後に, スギ花粉症に対する舌下免疫療法を開始してから1~4シーズン経過した患者431例を対象として, 服薬状況, 自覚的治療効果, 副反応, 治療満足度, 治療に伴う負担などについて自記式質問紙を用いたアンケート調査を行った. 年齢分布は10歳代と40歳代に二峰性の分布を示した. 自覚的効果については1シーズン目と比較して2シーズン目以降で治療効果を自覚していると回答した患者割合が高い傾向にあり, 治療効果を自覚するためには少なくとも2シーズンの治療継続が望ましい可能性が示唆された. 副反応については, 1シーズン終了群では23.4%の回答で認めたが2シーズン目以降は5.6%, 5.0%, 1.2%と減少する傾向が見られ, 1シーズン継続することができればそれ以降の治療継続に大きな影響を及ぼす可能性は低いと考えられた. 4シーズン目になると積極的に治療継続を希望しない患者がおり, 今後は治療の終了時期に関する検討が望まれる.
著者
湯田 厚司 小川 由起子 荻原 仁美 神前 英明 清水 猛史
出版者
一般社団法人 日本耳鼻咽喉科学会
雑誌
日本耳鼻咽喉科学会会報 (ISSN:00306622)
巻号頁・発行日
vol.121, no.12, pp.1493-1498, 2018-12-20 (Released:2019-01-16)
参考文献数
10
被引用文献数
1 1

スギ花粉はトマトと共通抗原を有する. 口腔内に抗原投与する舌下免疫療法 (SLIT) ではトマト抗原陽性例への影響も考えられる. スギ花粉 SLIT 220例でトマト IgE 抗体 (s-IgE) 陽性例の1年目副反応を検討した. 107例の s-IgE 変化を2年間追跡した. 2例のトマト口腔アレルギー症候群 (OAS) の経過を観察した. 治療前トマト s-IgE でクラス2 (20例) と1 (18例) では, クラス0 (182例) と比べて副反応の増加がなかった. トマト s-IgE は治療前0.29±1.08, 1年後0.34±0.89, 2年後0.27±0.87UA/mL であった. 治療前クラス0 (92例) は1年後に10例でクラス1に, 4例でクラス2になった. クラス0でも55例中12例で検出閾値未満から検出可能になり, 37%に多少の変化を認めた. トマトとスギ s-IgE 変化は連動し, 交叉抗原の影響を示唆した. トマト OAS の2例は問題なく治療を継続できた. トマトアレルゲン陽性例でも安全に SLIT を行えた.
著者
鵜飼 幸太郎 坂倉 康夫 竹内 万彦 増田 佐和子 湯田 厚司 大川 親久 緒方 俊行
出版者
耳鼻咽喉科展望会
雑誌
耳鼻咽喉科展望 (ISSN:03869687)
巻号頁・発行日
vol.42, no.4, pp.447-458, 1999-08-15 (Released:2011-03-18)
参考文献数
9
被引用文献数
1

スギ花粉症の患者30例を対象に, 甜茶ポリフェノール含量を高めた飲料 (甜茶エキス80mg/日) をスギ花粉飛散前に投与を開始する初期投与群 (15例) と発症後投与群 (15例) に投与し, スギ花粉飛散前期における鼻症状, 眼症状および併用薬剤使用状況を調査し, その有効性, 安全性および有用性について検討を行った。初期投与群と発症後投与群を比較したところ, 花粉症発症1週目, 2週目ともsymptom scoreには差が認められなかったが, medication scoreおよびsymptom-medication scoreには, 統計学的に有意な差が認められた。試験終了時の医師による最終総合評価では, 初期投与群で「中等度改善」以上が53.3%を占め, 発症後投与群の6.7%に比べて有意に高い症状改善率を示した。副作用は全例に認められず, 臨床症状改善率と副作用を考慮した有用度は初期投与群において「やや有用」以上が60%を占め, 発症後投与群の33.3%と比較して有意に高い有用性を示した。以上の結果より, 甜茶飲料をスギ花粉飛散前から飲用することにより, スギ花粉症症状を予防的に抑制し治療薬の低減に有用であることが確かめられた。
著者
湯田 厚司
出版者
日本小児耳鼻咽喉科学会
雑誌
小児耳鼻咽喉科 (ISSN:09195858)
巻号頁・発行日
vol.34, no.3, pp.252-256, 2013 (Released:2014-03-20)
参考文献数
5

小児(特に未就学児)アレルギー性鼻炎の鼻視診には工夫を要する。耳鏡での診察や小児吸引管の使用も有用である。鼻汁は感染性鼻副鼻腔炎を伴う例が多いので隠れたアレルギー性鼻炎を見逃さないことが重要であり,鼻汁スメアーを自ら検鏡すると有用である。最近になり治療薬は増加しているがまだ充分でなく,問題点も多い。剤型,適応年齢での制限があり,錠剤は 7 歳以上からの適応となる。用量は体重換算と年齢による規定のどちらかであり,年齢によって効果が不十分になる事もある。成人の鼻閉に効果的な抗ロイコトリエン薬は,小児での有効性が明確でない。また,抗ヒスタミン薬は服用法で影響を受け,食事や飲物が血中濃度に影響し得るが,周知されていない。新規治療として舌下免疫療法が保険適応になるが,小児での適応は先送りとなる。我々は小児スギ花粉症に舌下免疫療法を行っているが,効果は良好であり,今後の適応追加に期待したい。
著者
湯田 厚司 神前 英明 新井 宏幸 清水 猛史
出版者
日本鼻科学会
雑誌
日本鼻科学会会誌 (ISSN:09109153)
巻号頁・発行日
vol.59, no.4, pp.398-405, 2020 (Released:2020-12-23)
参考文献数
12

舌下免疫療法では薬剤で維持量が異なり,アレルゲン量が増えれば副反応も多くなり,治療スケジュールに影響しえる。【対象と方法】各薬剤の最初の例から1年以内の治療開始例で,シダトレン®(CT群)207例,シダキュア®(CC群)69例とミティキュア®(MT群)82例の副反応と治療経過を検討した。MT群では翌年治療87例も追加調査した。【結果】CT群では全例が順調に最大維持量で治療した。CC群では1例(1.4%)が局所ピリピリ感で減量したが再増量でき,全例で最大維持量となった。MT群では20例(24.4%)が減量し,浮腫17例が原因を占めた。18例が再増量でき,97.6%が最大維持量にできた。翌年追加調査では減量例が12.6%と半減し,同等の97.7%が最大維持量にできた。副反応率はCT群40.6%,CC群56.5%,MT群62.1%であった。浮腫と咽喉頭不快感はアレルゲン増加で増え,MT群の局所浮腫は41.5%と高率であった。局所そう痒感はCC群とMT群に多く,CC群で耳そう痒感が21.7%と特に多かった。全副反応は重篤でなく,対応不要であった。【結論】アレルゲンが多いと副反応も高率であったが,スギ治療薬では全例で最大維持量にできた。ダニでは主に浮腫の副反応で一時的減量例も多くなったが,数%例を除いて最大維持量にできた。治療経験が増えると減量例も少なくなった。
著者
荻原 仁美 湯田 厚司 宮本 由起子 北野 雅子 竹尾 哲 竹内 万彦
出版者
一般社団法人 日本耳鼻咽喉科学会
雑誌
日本耳鼻咽喉科学会会報 (ISSN:00306622)
巻号頁・発行日
vol.114, no.2, pp.78-83, 2011 (Released:2011-07-12)
参考文献数
11
被引用文献数
3 3

背景と目的: スギ花粉症にヒノキ科花粉症の合併が多く, その原因として両花粉抗原の高い相同性が挙げられる. しかし実際の臨床の場において, ヒノキ科花粉飛散期にスギ花粉飛散期にはみられない強い咽喉頭症状のある例に遭遇する. そこで, ヒノキ科花粉症の咽喉頭症状について検討した.方法: スギ・ヒノキ科花粉症患者で2008年のスギ・ヒノキ花粉飛散期の咽喉頭症状を1週間単位のvisual analog scale (VAS) で検討した. また, 2008年と2009年に日本アレルギー性鼻炎標準QOL調査票No2で鼻眼以外の症状を調査し, 花粉飛散数による相違を検討した.結果: VASによる鼻症状は花粉飛散数に伴って悪化し, スギ花粉飛散期でヒノキ科花粉飛散期より強かった. 一方, のどの違和感と咳は, ヒノキ科花粉が少量飛散であったにもかかわらず, ヒノキ科花粉飛散期で悪化した. また日本アレルギー性鼻炎標準QOL調査票No2の鼻眼以外の症状において, スギ花粉症では飛散総数が多いと全般に症状が悪化したが, ヒノキ科花粉症は少量飛散でも強い咽喉頭症状を示し, 大量飛散年に類似した.結論: ヒノキ科花粉症はスギ花粉症と同一のように考えられているが,スギ花粉症とは異なる鼻眼以外の症状を呈する. 特にヒノキ科花粉症において咽喉頭症状が強く, 少量の飛散でも強い症状がある.
著者
湯田 厚司 小川 由起子 鈴木 祐輔 有方 雅彦 神前 英明 清水 猛史 太田 伸男
出版者
一般社団法人 日本耳鼻咽喉科学会
雑誌
日本耳鼻咽喉科学会会報 (ISSN:00306622)
巻号頁・発行日
vol.120, no.1, pp.44-51, 2017-01-20 (Released:2017-02-10)
参考文献数
9
被引用文献数
4

舌下免疫の最初の数年間の効果は治療年数により高まるとされる. スギ花粉舌下免疫の同一患者での症状を, ともに中等度飛散であった2015年 (花粉総数2,509個/cm2) と2016年 (同3,505個/cm2) の2年間で検討した. 【方法】発売初年に開始した舌下免疫132例 (41.8±17.5歳, 男女比75: 57) と対照に初期療法56例 (44.9±13.5歳, 同25: 31) を選択した. 2015年と2016年の両方のスギ花粉飛散ピーク時に, 1) 症状スコアと症状薬物スコア, 2) Visual analog scale, 3) 日本アレルギー性鼻炎標準 QOL 調査票 (JRQLQ No1) で調査した. 主目的に舌下免疫療法2年目に効果が増強するか, 副次目的に舌下免疫と初期療法の比較とした. 【結果】推定周辺平均ですべてに治療方法と年度に交互作用はなく, くしゃみ, 鼻汁, 鼻閉, 眼のかゆみなどの眼鼻症状において, 初期療法には2年での差はなく, 舌下免疫療法の多くで2年目は1年目より有意に良かった. 全般症状の項目も同様であった. QOL (quality of life) は, 舌下免疫の17項目中2項目のみで有意に2年目が良かった. また, ほとんどの項目で舌下免疫は初期療法より有意に効果的であった. 【結論】初期療法を対照にした中等度飛散の2年の比較で, 舌下免疫の治療効果は治療1年目より2年目で高まっていたと考えられる.
著者
湯田 厚司 前田 太郎 川口 信也 篠木 淳
出版者
耳鼻咽喉科臨床学会
雑誌
耳鼻咽喉科臨床 (ISSN:00326313)
巻号頁・発行日
vol.85, no.4, pp.627-633, 1992-04-01 (Released:2011-11-04)
参考文献数
18
被引用文献数
9 4

Foreign bodies in the ear and nose are commonly found by otorhinolaryngologists. A statistical review was made of 99 patients with foreign bodies in the ear and 73 patients with foreign bodies in the nose, treated at the Maeda ENT Hospital between June 1, 1988 and May 31, 1991.1. The patients with foreign bodies in the ear showed a wide age range, but most of those with foreign bodies in the nose were children.2. Foreign bodies in the ear were seen more often in summer because of insects, but foreign bodies in the nose showed no seasonal differences.3. The most frequent foreign bodies in the ear were insects (37.4%), followed by toy parts (26.3%) and cotton (8.1%).4. The most frequent foreign bodies in the nose were toy parts (43.8%), followed by food (23.3%) and paper (15.1%).
著者
湯田 厚司
出版者
日本小児耳鼻咽喉科学会
雑誌
小児耳鼻咽喉科 (ISSN:09195858)
巻号頁・発行日
vol.39, no.3, pp.212-218, 2018 (Released:2019-04-05)
参考文献数
18

舌下免疫療法(SLIT)が2018年に小児適用となった。現在スギ花粉とダニの各々に2製剤が発売され,スギ花粉1製剤を除き11歳以下の小児にも投与可能である。著者は12歳以上例で市販後4年間に本邦で最も多い約650例のSLIT治療を行い,臨床研究治療例を含めると1000例(小児例含む)を超える。これまでに,成人スギ花粉SLIT例の報告で効果の高さを示してきた。小児でアレルギー性鼻炎を発症すると自然寛解が少なく長期有症となり,早期からのSLITが望まれる。小児であってもSLIT治療法や投与量は成人と同じであり,成人同様の効果を期待できる。著者が過去に行った小児スギ花粉症SLITの臨床研究結果を明示し,豊富な臨床経験に基づくアドヒアランス向上,長期休薬への対応,副反応軽減への工夫,ダニ治療時の注意点,スギ花粉とダニの重複抗原例の治療などについて,安全で効果的にSLITを行うために概説した。
著者
湯田 厚司 小川 由起子 荻原 仁美 鈴木 祐輔 太田 伸男 有方 雅彦 神前 英明 清水 猛史
出版者
一般社団法人 日本耳鼻咽喉科学会
雑誌
日本耳鼻咽喉科学会会報 (ISSN:00306622)
巻号頁・発行日
vol.120, no.6, pp.833-840, 2017-06-20 (Released:2017-07-15)
参考文献数
14
被引用文献数
1 1

スギ花粉舌下免疫療法のヒノキ花粉飛散期への効果を検討した. 方法: スギ花粉舌下免疫療法 (SLIT) を行ったヒノキ花粉症合併180例 (平均37.0 ± 17.0歳, 男性105例, 女性75例, CAP スコアスギ4.6 ± 1.1, ヒノキ2.7 ± 0.8) を対象とした. スギ・ヒノキ花粉とも中等度飛散の2016年に日本アレルギー性鼻炎標準 QOL 調査票の QOL およびフェーススケール (FS) と, 症状薬物スコア (TNSMS) を花粉ピーク期に調査した. また, 花粉飛散後に両花粉期の効果をアンケート調査した. 結果: 飛散後アンケートで, 治療前にはスギ期で症状の強い例が多く, SLIT の効果良好例はスギ期68.7%とヒノキ期38.7%でスギ期に多かった. 両花粉期を比較すると, 同等効果42.2%であったが, ヒノキ期悪化が半数以上の54.9%にあった. 各調査項目の平均では両花粉期に有意差がなかったが, 個々の例で TNSMS スコア1以上悪化例が27.2%あり, スギ期軽症の FS 0または1の43.4%で FS が悪化した. 治療前にスギとヒノキ期に同等症状であった例の30.4%でヒノキ期に TNSMS が悪化した. 一方で, 治療前にヒノキ期症状の強かった8/30例 (26.7%) でヒノキ期に改善し, 効果例も認めた. 結論: スギ花粉舌下免疫療法はヒノキ花粉症に効果例と効果不十分例があり, ヒノキ期の悪化に注意が必要である.
著者
湯田 厚司
出版者
一般社団法人 日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会
雑誌
日本耳鼻咽喉科学会会報 (ISSN:00306622)
巻号頁・発行日
vol.124, no.7, pp.968-973, 2021-07-20 (Released:2021-08-04)
参考文献数
24
被引用文献数
6

スギ花粉とダニの舌下免疫療法は, アレルギー性鼻炎治療の重要な治療として定着しつつある. 筆者は1,800例を超える SLIT の治療実績があり, 自験例に基づく治療方針や工夫を紹介する. 小児のスギ花粉症は急増しており, 最近の疫学調査から10歳未満の3人に約1人が10年以内にスギ花粉症を発症すると推測される. 2018年にスギ花粉とダニの舌下免疫療法が低年齢児にも治療できるようになった. 小児は成人と同じ用法用量で治療すればよく, 成人と同等の高い有効性があり, 安全性も成人と変わらない. SLIT 治療年数とともに効果の上乗せがあり, 治療終了後の効果持続を期待し, 4年間程度の継続治療を勧めている. 副反応は, 投与アレルゲンが増えると増え, 副反応で一時的減量が必要な例もあるが, 適切な時期に再増量を計画する. スギ花粉は全例が最大維持量にでき, ダニも適切な対処で最大維持量にできる. アドヒアランスが重要であるが, 患者の治療意欲を保つ工夫も必要である. 多重アレルゲン感作の例が多いが, 感作が多くても同じ効果を期待できる. 特にスギ花粉とダニの重複感作が多いので, 両方のアレルゲンで治療する Dual SLIT も安全にでき, 今後の治療例も増えるだろう. COVID-19 による患者受診抑制の中, 舌下免疫療法患者は影響を受けにくいので, 経営面も含めた大きな治療戦略となるだろう.
著者
湯田 厚司 小川 由起子 新井 宏幸 荻原 仁美 神前 英明 清水 猛史
出版者
一般社団法人 日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会
雑誌
日本耳鼻咽喉科学会会報 (ISSN:00306622)
巻号頁・発行日
vol.122, no.2, pp.126-132, 2019-02-20 (Released:2019-03-01)
参考文献数
10
被引用文献数
4 3

本邦でのスギ花粉とダニが原因のアレルギー性鼻炎合併例は多い. スギ花粉とダニを同時に用いた皮下免疫療法は行えるが, 舌下免疫療法の併用治療 (併用 SLIT) に関する知見は十分ではない. 併用 SLIT が行えれば有用であり, 安全性を検討した. 当院で2017年6月以降にスギ花粉 (シダトレン ®) とダニ (ミティキュア ®) で併用 SLIT を行った53例 (男性31例, 女性22例, 年齢12~53歳, 平均21.7±11.6歳, スギ花粉先行39例) を対象とした. 先行と後行 SLIT の間隔は1カ月以上あけ, 朝夕に分けて開始した後に5分間隔でスギ花粉・ダニの順で行った. 併用 SLIT 後6カ月まで受診毎に副反応を確認した. 完遂率は51/53例 (96.2%) で, 脱落2例の理由は副反応によるものではなかった. 副反応はすべて軽度で, 処置不要であった. 併用 SLIT 期の副反応は, 全副反応で増加せず, 口腔咽頭感覚症状で有意に減少した. 投与間隔による副反応は変わらず, 投与順で副反応は変わらなかったが, ダニ後行 SLIT で維持アレルゲンを減量する例が増えた. 併用 SLIT は1~2カ月以内の短期間間隔で安全に行えた.
著者
湯田 厚司 荻原 仁美 宮本 由起子 佐橋 紀男 竹内 万彦
出版者
Japan Rhinologic Society
雑誌
日本鼻科学会会誌 (ISSN:09109153)
巻号頁・発行日
vol.50, no.1, pp.13-18, 2011 (Released:2011-04-28)
参考文献数
9

スギ花粉症の初期療法は有用で, 広く浸透している。薬剤投与開始日は薬剤で異なるが, スギ花粉開始予想日に左右される。適切で効率よい初期療法を行うには, 適確な飛散開始日予測が必要だが, その予想方法は見いだされていない。そこで, 三重県津市におけるスギ花粉飛散開始日の予測方法を検討し, その結果から全国的な予想に応用できるかを検討した。【方法】気象庁ホームページから収集した気象データをもとに三重県津市のスギ花粉飛散開始の予測が可能かを検討した。その結果を基に, 既報で公開された全国のスギ花粉飛散開始日のデータを参照して, 全国の飛散開始日予想を試みた。【結果】津市の飛散開始日は11月中旬平均気温 (p=0.0027, r=0.67), 平均最高気温 (p=0.0011, r=0.70) と有意に正に相関した。11月中旬が寒いと花粉飛散が早まった。全国30都市を調査した結果, 全国的に11月中旬平均気温との相関が良く, 福岡市, 広島市, 徳島市, 西宮市, 東大阪市, 和歌山市, 大垣市, 静岡市, 中央市, 八王子市, 埼玉県坂戸市の各市と東京都が有意に相関した。名古屋市, 水戸市は平均最高気温のみ相関した。岡山市, 米子市, 松山市, 高松市では相関がなかった。また, 関東以北や日本海側の都市でも相関がなかった。九州から関東の太平洋岸都市を中心に11月中旬平均気温から飛散開始日が予想できると考えた。【結論】飛散開始日予想は初期療法開始日決定に有用であり, 誰でも収集可能な気象情報からの予想は有用度が高い。
著者
湯田 厚司 小川 由起子 鈴木 祐輔 荻原 仁美 神前 英明 太田 伸男 清水 猛史
出版者
一般社団法人 日本アレルギー学会
雑誌
アレルギー (ISSN:00214884)
巻号頁・発行日
vol.67, no.8, pp.1011-1019, 2018 (Released:2018-09-21)
参考文献数
9
被引用文献数
13

【背景・目的】スギ花粉舌下免疫(SLIT)の開始後4年が経過した.花粉多量飛散年にSLIT1~4年治療例を検討した.【方法】2018年(飛散総数5041個/cm2)飛散ピーク時にSLIT4年目83例,3年目72例,2年目48例,1年目67例と比較対照の初期療法320例,未治療群424例を対象とした.JRQLQ No1の鼻眼症状,薬物・総鼻症状薬物スコア,視覚的症状尺度(VAS)で評価した.【結果】SLIT各治療年は全てで未治療より,総括症状で初期療法より有意に良かった.治療3・4年目は鼻眼症状で初期療法より有意に良かった.併用薬なしで鼻症状スコア1以下の寛解率はSLIT4年目から1年目の順に41.0%,31.9%,18.8%,20.9%で,症状スコア全て0点の例は順に12.0%,12.5%,4.2%,4.5%であった.SLIT全例で処置を要する副反応は無かった.【結語】スギ花粉多量飛散年のSLITは初期療法や未治療より効果的であった.治療は短期よりも4年の長期に行う方が良いと考えた.