著者
会田 薫子
出版者
一般社団法人 日本在宅救急医学会
雑誌
日本在宅救急医学会誌 (ISSN:2436066X)
巻号頁・発行日
vol.4, no.1, pp.31-37, 2020-12-31 (Released:2021-07-20)
参考文献数
11

臨床現場における治療やケアに関する意思決定のあり方は、パターナリズムから患者の自己決定、そして共同 意思決定へと変遷してきた。本人の意思の尊重を中心に据えつつ、本人だけに意思決定の役目を負わせずに、本人にとっての最善を実現するために、家族や医療・ケア従事者も情報を共有しながら一緒に考え、悩ましい場面も共有して意思決定する共同意思決定が現代の標準とされるようになった。共同意思決定においては、可能な限り医学的証拠vidence)を土台として治療法の選択肢をあげきり、本人の生活と人生の物語り(narrative)の視点でもっとも適切な選択肢を見出す。こうした考え方は、本人が意思決定困難となる人生の最終段階における医療とケアのための事前の備えのあり方にも影響を及ぼしている。患者の自己決定の時代に考案された事前指示の不足を補い、対話のプロセスを重視するadvance care planning(ACP)が発展してきたのである。在宅医療は本人が家族らと人生の物語りを紡いでいる場所で行われており、ACP の実践の舞台として最適といえる。ACP を適切に行うと、それは家族ケアにもなり、また、医療・ケア従事者の仕事満足度の向上にもつながる。

言及状況

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https://t.co/bH4LWvOe0x 共同意思決定(SDM)を進めるためのツールとしてACPがあり、ACPが目的ではない 対話を通じて、医療者と患者・家族のギャップを埋めていくというか、そのギャップにこそ、相互に認知するべき更なる世界の広がりがあるんだ

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