著者
市村 一雄 小田 雅行
出版者
THE JAPANESE SOCIETY FOR HORTICULTURAL SCIENCE
雑誌
園芸学会雑誌 (ISSN:00137626)
巻号頁・発行日
vol.67, no.3, pp.341-346, 1998-05-15 (Released:2008-01-31)
参考文献数
23
被引用文献数
3 4

市販の植物多糖である寒天, アガロース, セルロース, ジェランガム, ペクチン, アルギン酸ナトリウムおよびデンプンの浸漬液がレタスの根の伸長に及ぼす影響を調べたところ, 寒天の促進効果が最も大きかった.寒天による根の伸長促進効果はキュウリ, ダイコン, イネ, ホウレンソウ, トマトおよびネギと比べて, レタスで最も大きかった.それに加えて, レタスでの促進効果は変動が小さく, 取り扱いが容易であったため, 以下の実験にはすべてレタスを用いた.根の伸長は寒天抽出液によっても促進された.寒天抽出液に含まれる無機イオンと同じ組成に調製した溶液は寒天抽出液より根の伸長促進効果は小さかった.これより, 寒天抽出液に含まれる根の伸長促進物質は無機イオンとは異なる物質であると考えられた.寒天抽出液をSephadex G-25カラムおよびBio-Gel P-2カラムを用いて分画したところ, 根の伸長促進活性は低分子領域の数画分に認められた.これらの活性画分をShodex C18カラムで分画したところ, グルコースより早く溶出した.これらの結果より, 寒天に含まれる根伸長促進物質は数種類存在しており, これらはいずれも低分子で, 親水性の高い物質であると示唆された.

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