著者
大西 正男 伊藤 精亮
出版者
Japan Oil Chemists' Society
雑誌
日本油化学会誌 (ISSN:13418327)
巻号頁・発行日
vol.46, no.10, pp.1213-1225, 1997-10-20 (Released:2009-10-16)
参考文献数
53
被引用文献数
5 10 5

代表的な植物スフィンゴ脂質であるグルコシルセラミド (セレブロシド) は細胞膜と液胞膜の主要な脂質成分のひとつである。一般にスフィンゴ脂質は構造的な要因として膜を強固にする機能を有することが知られているが, 植物細胞では高含量のセレブロシドの存在は低温条件下での膜の流動性制御に対してマイナスに作用するとともに局部的な膜の相転移状態を引き起こす可能性がある。現在, 植物の低温傷害あるいは凍結傷害と関連したスフィンゴ脂質の役割について多くの研究がなされている。本総説では, 動物スフィンゴ脂質とは顕著に異なる植物スフィンゴ脂質の構造知見を概説し, その中で低温感受性と低温耐性植物から分離したセレブロシドの分子種多様性について述べるとともに, DSC分析から明らかになったセレブロシド分子種の熱特性ならびに低温ストレスに対する応答としてのセレブロシド組成の変化について説明する。また, 著者らの植物スフィンゴ脂質の代謝に関する最近の研究成果についても紹介する。

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