著者
木下 幹朗 柚木 恵太 得字 圭彦 川原 美香 大庭 潔 弘中 和憲 大西 正男
出版者
社団法人 日本食品科学工学会
雑誌
日本食品科学工学会誌 (ISSN:1341027X)
巻号頁・発行日
vol.56, no.1, pp.53-55, 2009-01-15 (Released:2009-02-28)
参考文献数
11

食餌性ナガイモの大腸腺腫発症に与える効果を他のイモ類と比較しつつ,1,2-ジメチルヒドラジン投与マウスを用いて調べるとともに,ナガイモを利用した商品モデル(ナガイモ入り青汁)の効果についても検証した.その結果,ナガイモ以外のイモ類においても上記の実験動物モデルにおいて大腸腺腫抑制効果が観察されたが,腺腫数の平均はナガイモ群が一番低かった.また,商品モデルであるナガイモ入り青汁ついても腺腫抑制効果が観察された.
著者
川村 純 琴浦 聡 奥山 孝子 古本 真理 府中 英孝 三明 清隆 杉山 雅昭 大西 正男
出版者
社団法人 日本食品科学工学会
雑誌
日本食品科学工学会誌 (ISSN:1341027X)
巻号頁・発行日
vol.60, no.5, pp.218-224, 2013-05-15 (Released:2013-06-30)
参考文献数
25
被引用文献数
1

廃鶏表皮を原料として脱脂乾燥鶏皮粉末(DCS)を調製し,その摂取がヒトの肌に及ぼす影響を確認する目的でヒトによる二重盲検並行群間試験を実施した.その結果,DCS摂取群において皮膚水分量の増加傾向が認められ,特に皮膚の乾燥が重度な被験者においてはプラセボ摂取群と比較して有意に増加した.また,DCSの摂取後では皮膚弾力性が摂取前と比較して有意に増加していた.本試験の結果から,DCSの摂取は皮膚の乾燥が重度な人の皮膚保湿性を改善させ,加齢により低下した皮膚弾力性を改善する可能性が示された.
著者
大西 正男 尾崎 文子 吉野 富佐子 村上 淑子
出版者
Japanese Society for Oral Health
雑誌
口腔衛生学会雑誌 (ISSN:00232831)
巻号頁・発行日
vol.31, no.2, pp.158-162, 1981 (Released:2010-03-02)
参考文献数
17
被引用文献数
1 14

100匹のWister純系鼠を5群に分け, 全群に同一う蝕誘発食餌6PMVを与えたが, 飲物としてコントロール群には脱イオン水を, 残りの4群には同一フッ素濃度 (10ppm) のNaF溶液, 茶の浸出液とその稀釈液を与えた。30日のう蝕期間で, 茶投与群はNaF溶液群よりも効果的なう蝕抑制をもたらした。抑制率は茶の稀釈度に反比例した。茶は多くの生物学的活性物質を含みまたう蝕予防に好ましい物理化学的性質をもつていると考察された。
著者
大西 正男 藤野 安彦
出版者
公益社団法人 日本農芸化学会
雑誌
日本農芸化学会誌 (ISSN:00021407)
巻号頁・発行日
vol.49, no.4, pp.205-212, 1975 (Released:2008-11-21)
参考文献数
27
被引用文献数
11 7

A. oryzaeからセラミドを単離し,その構成分の組成を調べた.主要構成脂肪酸はリグノセリン酸, 2-オキシリグノセリン酸,および2, 3-ジオキシリグノセリン酸で,とくに後2者が多かった.構成長鎖塩基としては,フィトスフィンゴシンが大部分を占めていた.
著者
木下 幹朗 柚木 恵太 得字 圭彦 川原 美香 大庭 潔 弘中 和憲 大西 正男
出版者
公益社団法人 日本食品科学工学会
雑誌
日本食品科学工学会誌 (ISSN:1341027X)
巻号頁・発行日
vol.55, no.6, pp.270-275, 2008-06-15 (Released:2008-07-31)
参考文献数
34
被引用文献数
4 2

ナガイモのガンに対する機能性を探索する目的で,1,2-ジメチルヒドラジン投与マウスにおける大腸腺腫(ACF)発症に与える食餌性ナガイモ粉末の効果を検証した.ナガイモ粉末をAIN-93G標準飼料のコーンスターチ部分に100%または50%置き換えて投与したところ,大腸腺腫の発症が有意に抑制された.また,加熱および非加熱の生ナガイモ粉末ともに同様の効果が認められた.DNAマイクロアレイを用いて大腸での遺伝子の異同を調べたところ,ナガイモ投与群ではアポトーシスを誘導する遺伝子群の増加が認められた.
著者
木下 幹朗 間 和彦 大西 正男
出版者
食品化学新聞社
雑誌
健康食品新聞
巻号頁・発行日
no.302, pp.5, 2008-10-29

食品化学新聞社 健康食品新聞(週刊) 2005年10月29日(水曜日) 第302号 5頁より転載
著者
山﨑 民子 荒井 克仁 得字 圭彦 川原 美香 大庭 潔 木下 幹朗 大西 正男
出版者
公益社団法人 日本食品科学工学会
雑誌
日本食品科学工学会誌 (ISSN:1341027X)
巻号頁・発行日
vol.59, no.10, pp.538-543, 2012-10-15 (Released:2012-11-30)
参考文献数
40
被引用文献数
1 1

十勝産ナガイモの成分組成,アミラーゼ力価およびO2‾消去活性を検討し,基幹作物である十勝産ジャガイモの既報の分析結果と比較した.その結果,十勝産ナガイモは水分とカルシウムが多く,ビタミン類についてはα -トコフェロールは多かったものの,ビタミンB1,ビタミンB6およびアスコルビン酸は少なかったが,ビタミンEの供給源としては期待できることが示された.また,食物繊維量は少ないが,その中で水溶性食物繊維の占める割合が高かった.デンプンは少なく,アミロースの割合は25%であった.一方,RSは多く含まれていた.遊離の糖類としては,ブドウ糖と果糖が多く,ショ糖が同程度であった.主要な構成アミノ酸はグルタミン酸とアルギニンであった.アミラーゼ力価は低レベルであったことから,ナガイモが生食できることとナガイモ自体のアミラーゼ活性は関係していないと推測される.また,水抽出物のO2‾消去能は70単位/gと少し低かったが,抗酸化成分の供給源として十分に期待できる値であった.以上より,十勝産ナガイモは十勝産ジャガイモと同様に基幹作物としての利用が大いに期待できる.
著者
柚木 恵太 安井 美裕 大西 正男
出版者
日本食品科学工学会
雑誌
日本食品科学工学会誌 = Journal of the Japanese Society for Food Science and Technology (ISSN:1341027X)
巻号頁・発行日
vol.51, no.5, pp.274-278, 2004

ワイン中の機能性物質のひとつであるリスベラトロールとその関連物質について,ワインの発酵過程での含量変化を分析した.(1) アルコール発酵3日目からのアルコール濃度の上昇とともにリスベラトロールは果皮から抽出され,発酵6日目でほぼ平衡に達した.その過程で,シス異性体の割合が増加し,発酵後半ではトランス体のみが減少していたことから,酵母由来のイソメラーゼ活性により発酵中にリスベラトロールの異性化が起きていることが示唆された.(2) 乳酸発酵過程において,リスベラトロールの増加とパイシードの減少が観察され,果皮から移行したパイシードが乳酸菌由来のβ-グルコシダーゼ活性によって加水分解されてリスベラトロールに変換されるものと推測された.
著者
三明 清隆 柚木 恵太 川村 純 府中 英孝 杉山 雅昭 大西 正男
出版者
Zootechnical Science Society of Japan
巻号頁・発行日
vol.85, no.2, pp.153-161, 2014 (Released:2014-09-03)

プラズマローゲン(Pls)は神経炎症抑制やアミロイド形成抑制効果を有し,アルツハイマー病の治療や予防に利用できる可能性がある。親鶏の皮および筋肉部のリン脂質(PL),特にPlsの組成を調べた。皮のPL画分のスフィンゴミエリン(19%)は,他の3つの筋肉組織(6%)に比べて多く含まれていた。皮PLの21%がエタノールアミンプラズマローゲン(PlsEtn),6%がコリンプラズマローゲン(PlsCho)であった。ムネではPlsChoはPlsEtnの1.8倍多く含まれていたが,モモではPlsChoとPlsEtnは同量含まれていた。Plsの脂肪酸組成としては,皮ではn-6系の20:4や22:4が多く,筋肉組織では18:1が多く検出された。皮エタノール抽出画分(高PlsEtn型)とムネ肉エタノール抽出画分(高PlsCho型)をホスホリパーゼA1処理し,ヘキサン,アセトンおよび溶解分画することにより高純度プラズマローゲン画分を容易に調製できた。皮,ムネとも鶏種および飼育環境の違いによるPL組成の変動は少ないため,親鶏は安定したPlsの供給源として有望であることが確認できた。
著者
三明 清隆 柚木 恵太 川村 純 府中 英孝 杉山 雅昭 大西 正男
出版者
公益社団法人 日本畜産学会
雑誌
日本畜産学会報 (ISSN:1346907X)
巻号頁・発行日
vol.85, no.2, pp.153-161, 2014
被引用文献数
3

プラズマローゲン(Pls)は神経炎症抑制やアミロイド形成抑制効果を有し,アルツハイマー病の治療や予防に利用できる可能性がある.親鶏の皮および筋肉部のリン脂質(PL),特にPlsの組成を調べた.皮のPL画分のスフィンゴミエリン(19%)は,他の3つの筋肉組織(6%)に比べて多く含まれていた.皮PLの21%がエタノールアミンプラズマローゲン(PlsEtn),6%がコリンプラズマローゲン(PlsCho)であった.ムネではPlsChoはPlsEtnの1.8倍多く含まれていたが,モモではPlsChoとPlsEtnは同量含まれていた.Plsの脂肪酸組成としては,皮ではn-6系の20:4や22:4が多く,筋肉組織では18:1が多く検出された.皮エタノール抽出画分(高PlsEtn型)とムネ肉エタノール抽出画分(高PlsCho型)をホスホリパーゼA<sub>1</sub>処理し,ヘキサン,アセトンおよび溶解分画することにより高純度プラズマローゲン画分を容易に調製できた.皮,ムネとも鶏種および飼育環境の違いによるPL組成の変動は少ないため,親鶏は安定したPlsの供給源として有望であることが確認できた.
著者
大西 正男 伊藤 精亮
出版者
Japan Oil Chemists' Society
雑誌
日本油化学会誌 (ISSN:13418327)
巻号頁・発行日
vol.46, no.10, pp.1213-1225, 1997-10-20 (Released:2009-10-16)
参考文献数
53
被引用文献数
5 10 5

代表的な植物スフィンゴ脂質であるグルコシルセラミド (セレブロシド) は細胞膜と液胞膜の主要な脂質成分のひとつである。一般にスフィンゴ脂質は構造的な要因として膜を強固にする機能を有することが知られているが, 植物細胞では高含量のセレブロシドの存在は低温条件下での膜の流動性制御に対してマイナスに作用するとともに局部的な膜の相転移状態を引き起こす可能性がある。現在, 植物の低温傷害あるいは凍結傷害と関連したスフィンゴ脂質の役割について多くの研究がなされている。本総説では, 動物スフィンゴ脂質とは顕著に異なる植物スフィンゴ脂質の構造知見を概説し, その中で低温感受性と低温耐性植物から分離したセレブロシドの分子種多様性について述べるとともに, DSC分析から明らかになったセレブロシド分子種の熱特性ならびに低温ストレスに対する応答としてのセレブロシド組成の変化について説明する。また, 著者らの植物スフィンゴ脂質の代謝に関する最近の研究成果についても紹介する。