著者
小畑 純一 室町 泰徳
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.45.3, pp.493-498, 2010-10-25 (Released:2017-01-01)
参考文献数
17

本研究では、地下鉄道における震災時の避難計画に資することを目的とし、通勤ラッシュ時における地下鉄道の運行状況、及び地下鉄道利用者の震災時における意識や行動意向を検討した。地下鉄道利用者の震災時における意識、及び行動意向を把握する目的から行ったアンケート調査結果からは、地下鉄道利用者の多くは、震災時の地下鉄道の安全性に対し否定的な評価を持っており、地下鉄道は大規模地震に対して比較的安全な空間である点を十分に認識していない点、利用者の多くは震災時に「駅員の指示に従う」といった落ち着いた行動を取るという意向を持っているものの、いざ自分の周囲が地上へ避難し始めると、利用者はその行動に同調することになり、およそ70%以上の人が地上へ避難することになる点が示された。しかし、地下鉄道に対する安全評価の高い人は、地上へ避難することへの同調率が低下することがわかった。また、平日朝の通勤ラッシュ時のように混雑率が非常に高い列車に乗車している場合、震災後、待機可能な時間は20分程度である。この時間を過ぎると、一部の利用者が列車外へ脱出し始め、最終的に半数以上の乗客が車外へ出てしまう可能性が示された。

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