著者
高塚 慶次 宮本 慎一 田宮 高宏
出版者
社団法人 日本泌尿器科学会
雑誌
日本泌尿器科學會雑誌 (ISSN:00215287)
巻号頁・発行日
vol.72, no.11, pp.1373-1384, 1981-11-20 (Released:2010-07-23)
参考文献数
27

夜尿症の病因を解明するには, 小児の膀胱機能の年齢発育に関する知見が不可欠である. 機能的膀胱容量と平均尿流量率とは容易に測定でき, かつ, 正常小児の膀胱機能を評価する上で, 有用な指標である. 前者は強い尿意のあつたときの排尿量, 後者はそれを排尿時間で除した値として求まる.この方法により, 4歳~14歳迄の正常小児102名に対して, 水負荷後の排尿量と平均尿流量率を測定し, 分散分析法によりデータを解析した. 結果は以下の如きであつた.1) 機能的膀胱容量は4歳から14歳迄, 年齢と共に増加する.2) 男子では同年齢の女子に比較し, 僅かながら膀胱容量は大である.3) 平均尿流量率は, 略々排尿量の平方根に比例する.4) 平均尿流量率は年齢に伴つて増加する. このことは, かなりの程度に, 年齢増加に伴う排尿量の増加によるものであるが, 共分散分析により, 年齢そのものに伴う増加のあることを, 確認した.5) 女子の平均尿流量率は, 同年齢男子に比べ大である.

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