著者
笠井 利則 守山 和道 辻 雅士 上間 健造 桜井 紀嗣
出版者
一般社団法人 日本泌尿器科学会
雑誌
日本泌尿器科学会雑誌 (ISSN:00215287)
巻号頁・発行日
vol.92, no.4, pp.538-541, 2001-05-20 (Released:2010-07-23)
参考文献数
14
被引用文献数
1 2

症例は82歳, 女性. 無症候性肉眼的血尿を認め1997年6月3日, 当科を受診した. 膀胱, 後部尿道に多発性乳頭状腫瘍を認め膀胱生検を施行し, 病理所見は移行上皮癌, Grade 2 (TCC, G2) であった. CTで壁外浸潤, 遠隔転移を認めず adriamycin (ADM) 膀胱内注入, 低用量の cisplatin (CDDP) 点滴静注, 膀胱への放射線照射 (計50Gy) を施行した. 腫瘍は著明に縮小し, TUR-Bt. を施行した. 病理所見で膀胱筋層への浸潤は認めなかった. 1998年4月, 不正性器出血が出現し膣壁に多発性乳頭状腫瘍を認めた. 同時に膀胱内にも再発を認めTUR-Bt. を施行した. 膣粘膜生検の結果は, TCC, G2であった. MRI・全層針生検では膀胱から膣への浸潤は認めず膀胱移行上皮癌の膣内播種と診断し, 膣・子宮腔内照射を施行した. 膀胱内再発に対してはBCG膀胱内注入療法を施行している.

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