著者
坂爪 聡子
出版者
日本人口学会
雑誌
人口学研究 (ISSN:03868311)
巻号頁・発行日
vol.41, pp.9-21, 2007-11-30 (Released:2017-09-12)
被引用文献数
1

本稿の目的は,男性の育児参加と子ども数の関係を理論的に説明することにある。従来の研究では,育児は女性だけが負担するものとされてきた。しかし,男性の育児参加も考慮すると,女性の賃金上昇により男性への育児の代替が行われ,女性の就業と男性の育児参加が促進され,同時に子どもの数が増加するケースが考えられる。本稿は,このケースが成立する条件を求めることにより,男性の育児参加促進が少子化対策として効果があるために何が必要か明らかにする。本稿のモデルは基本的にはBecker(1965)に従うが,子どもの生産に投入される育児時間について,男性と女性の時間をわける。そして,女性の賃金が,女性の労働時間と男性の育児時間と子どもの需要に与える影響について分析する。分析の結果,女性の賃金上昇の影響は,男女賃金格差に大きく依存していることがいえる。男女賃金格差の大きいときは,3変数が増加する可能性はほとんどない。女性の賃金が男性とほぼ対等であるとき,同時に男女の育児時間の代替可能性が高い場合,3変数がすべて増加する可能性が高い。

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[life][family] “男性の育児参加は少子化対策として有効なのか?”

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男の育児参加と女の社会進出が少子化に与える影響について意見が分かれている。 欧米のデータでは女性が社会進出すれば出生率は上がったと言う。 これでは過去の日本で出生率が高かった時代を説明出来ない。 政治的立場が絡むと問題は複雑だ。 | ある研究者の論文 https://t.co/SQV5nhTz65 https://t.co/rLVuEGN7TV

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