- 著者
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樋口 広芳
- 出版者
- THE SOCIETY FOR REPRODUCTION AND DEVELOPMENT
- 雑誌
- Journal of Reproduction and Development (ISSN:09168818)
- 巻号頁・発行日
- vol.41, no.6, pp.j127-j133, 1995 (Released:2010-10-20)
- 被引用文献数
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鳥類には,他の鳥の巣に卵を産みこみ,その後の抱卵や育雛をその巣の主にまかせてしまう托卵習性をもつものがいる.そうした鳥の代表,カッコウ属(Cuculus)のカッコウ類の托卵習性について調べてみると,この類のメスは,托卵相手の産卵期の巣にやってきて,巣内の卵を1個抜きとったあと,自分の卵を1個産みこむ.1羽のメスが1巣に托卵するのは1卵だけである.産卵に費やす時間は,数秒から10秒前後と非常に短い.産み込む卵は,托卵相手の卵より少し大きく,色や模様がよく似ている傾向がある.孵化したヒナは,孵化後数時間以上経つと,巣内の卵あるいはヒナを1つずつ背中にのせてすべて巣外に押し出す.これらの特徴はどれも,托卵を成功に導くこと,あるいはより効率よいものにすることにかかわっている.カッコウ類の1羽のメスが1繁殖期に産む,あるいは産卵可能な卵の数は,数個から25個と一般鳥類に比べて多い.これは,巣づくりや育雛から解放されることによって,その分のエネルギーを卵形成にふり向けることができるからだと思われる.