著者
聶 翔 古屋敷 智之
出版者
日本生物学的精神医学会
雑誌
日本生物学的精神医学会誌 (ISSN:21866619)
巻号頁・発行日
vol.32, no.1, pp.13-17, 2021 (Released:2021-03-25)
参考文献数
26

過酷な環境によるストレスは抑うつや不安など情動変容を誘導し,うつ病など精神疾患のリスクを高める。マウスの慢性ストレスは自然免疫受容体TLR2/4を介して内側前頭前皮質のミクログリアで炎症性サイトカインを誘導し,うつ様行動を促す。また神経細胞由来の2AGがミクログリアに発現するプロスタグランジン(PG)合成酵素COX1を介して代謝され,皮質下領域でのPGE2産生を増強し,EP1受容体を介してうつ様行動を誘導する。このPGE2産生はTLR2/4依存的である。慢性ストレスによる不安様行動にもTLR2/4やPGE2‐EP1経路が必須であるが,脳内のPGE2産生は関与しない。慢性ストレスが白血球の動員を介して情動変容を促すことが示唆されており,末梢でのPGE2産生の関与が推測される。これらの結果は,TLR2/4が慢性ストレスによる脳内外の多様な炎症反応を統御してうつ・不安様行動を促すことを示唆する。

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構造はさすがに全然違いまっせ……(AEAも2-AGも環状構造を持たないので) あと2-AG増え過ぎるとそれはそれで多分あまりよろしくないという報告も、実は日本から、出ているのでっせ>https://t.co/1DSgADKUKP https://t.co/DzlbWZx1oZ
「慢性ストレスによる炎症反応の多様性と情動変容における役割」 聶 翔, 古屋敷 智之 (神戸大学大学院医学研究科薬理学分野) https://t.co/z5Tm16GGCq https://t.co/fRgkfmQdYa
「慢性ストレスによる炎症反応の多様性と情動変容における役割」 聶 翔, 古屋敷 智之 (神戸大学大学院医学研究科薬理学分野) https://t.co/z5Tm16GGCq https://t.co/fRgkfmQdYa

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