著者
一瀬 雅夫
出版者
一般社団法人 日本消化器がん検診学会
雑誌
日本消化器がん検診学会雑誌 (ISSN:18807666)
巻号頁・発行日
vol.46, no.3, pp.355-364, 2008 (Released:2012-03-25)
参考文献数
31
被引用文献数
1 6

胃癌死亡率減少に大きく貢献した胃がん検診も, 現在, 受診率および検診効率の向上に向けての取り組みが強く求められている。その様な状況下, 血清ペプシノゲン(PG)検査により, 萎縮性胃炎の進展した個人を把握, 内視鏡検査の対象とする検診方法, PG法が高い評価を受け, 血清PGにより同定される萎縮性胃炎を標的とした胃癌ハイリスク集約が有効である事が明らかとなって来た。加えて, 萎縮性胃炎の最重要因子としてのH.pyloriの役割が明確になって以来, 胃癌発生の自然史をH.pylori感染を主軸に理解する事が可能となり, PGやH.pylori抗体などの血液検査データを基に, 各個人におけるH.pylori感染のstageの把握, 胃癌発生リスクの具体的な予測が可能になって来た。これらの情報は, さらに, 胃癌発生予防, 検診効率化を目標とした有効な胃癌対策を立案可能なものとしつつある。本稿ではその現況について概説する。

言及状況

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「ピロリ菌が全くいなくなるほど胃が萎縮」することや「癌化しやすい」ことは、ピロリ菌感染から胃がん発症までの流れを知ることで理解しやすくなるのではないかと思います。 正常な胃粘膜にピロリ菌が感染すると、ピロリ菌から毒素であるコアグラーゼAや細胞空胞化毒素などが放出され、そのために胃粘膜は傷めつけられ、表層性胃炎などの非萎縮性胃炎→萎縮性胃炎→腸上皮化生へと進展します。この点に関しては、以下の論文の ...

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