- 著者
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栗木 契
- 出版者
- 日本商業学会
- 雑誌
- 流通研究 (ISSN:13459015)
- 巻号頁・発行日
- vol.10, no.3, pp.1-18, 2008 (Released:2011-05-20)
本稿の目的は、マーケティング・リサーチの対象、目的、焦点を再考し、質的リサーチの位置づけを見直すことである。そのために、本稿では、社会科学の領域で提唱されてきた3つの代表的なリサーチ・プログラムの構想 (論理実証主義、批判合理主義、構築主義) をとりあげ、マーケティング・リサーチの対象や目的により適しているのはどの構想であるか、そしてこれらの構想の違いによって、リサーチ・プログラムにおける質的リサーチの位置づけがどのように変化するかを検討する。その結論として、本稿では、 (1) マーケティング・リサーチは、「局所的秩序」を対象としたリサーチとなること、 (2) したがってマーケティング・リサーチの目的は、「規則や秩序の局所性の反省」と「規則や秩序の予測・再現可能性の向上」という2つの課題を達成することとなり、 (3) そのためには、「偶有性の解明」と「行為の連鎖がおりなす、循環する関係の把握」に適した質的リサーチを積極的に活用するべきであることを主張する。なお、以下はその後編である。