著者
荻布 優子 川崎 聡大
出版者
一般社団法人 日本小児精神神経学会
雑誌
小児の精神と神経 (ISSN:05599040)
巻号頁・発行日
vol.63, no.3, pp.231-237, 2023-10-01 (Released:2023-10-06)
参考文献数
12

近年,不登校の背景にある学習のつまずきの存在が指摘され学習障害と集団不適応が併存する事例報告も散見されるが,情緒の安定化を第一に据え学習面への直接的な介入は避けられる傾向にある.われわれは就学直後に登校しぶりを呈していた児童に読み書きの困難さを見いだし,学習場面への心理的負荷に対する配慮を十分に講じたうえで認知特性に合わせたひらがな読み正確性指導を行った.結果,約7か月間週1回の指導によりひらがな音読はほぼ完成し,未指導のカタカナや漢字に対して興味を示し,生活の中でひらがなを読んだり遊びに取り入れたりする姿が観察されるようになった.読み書き困難が背景の一つであると推測される不適応状況の解決の糸口として,体系的な文字学習での度重なる失敗の経験が比較的少ない学童期初期においては,発達段階や認知特性に配慮したうえでの苦手さそのものに対する段階的なアプローチの有効性が示唆されたと考えられた.

言及状況

外部データベース (DOI)

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つい先日刊行されました。読み書き困難児童へのひらがな読み指導経過をまとめました。徹底的に丁寧にアセスメントしてひらがな音読に介入していったら、不適応状況にもちょっと波及効果があったんだと思うんだ(低年齢だし…)、という報告です。 https://t.co/018iM0dJaa
スキル支援と学校生活スキルや意欲との関連を考えさせられた事例。多職種連携では、自分がどの視点に立っているのかを踏まえる事が大事だなあ。今日の学会の振り返りもかねて 小児の精神と神経 ちょうど出たらしい https://t.co/XAHvwwesNZ https://t.co/wIjZaaXhab
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