著者
南田 勝也
出版者
The Japan Sociological Society
雑誌
社会学評論 (ISSN:00215414)
巻号頁・発行日
vol.49, no.4, pp.568-583, 1999-03-30 (Released:2010-11-19)
参考文献数
16
被引用文献数
2

本稿は, 20世紀後半を代表する音楽文化, 若者文化であるロック (Rock) を, 諸個人の信念体系や社会構造との関係性の分析を中心に, 社会科学の対象として論述するものである。ロックはその創生以来, 単なる音楽の一様式であることを越え, ある種のライフ・スタイルや精神的態度を表すものとして支持されてきた。それと共に, 「ロックは反逆の音楽である」「破壊的芸術である」「商業娯楽音楽である」といったように, さまざまにその “本質” が定義されてきた。ここではそれらの本質観そのものを分析の対象とし, 諸立場が混合しながらロック作品を生産していく過程について考察する。そのような視点を用いた論理展開をよりスムーズに行うために, ピエール・ブルデューの〈場〉の理論を (独自の解釈を施したうえで) 本論考に援用する。「ロック」という名称を共通の関心とする人々によって構成され, [ロックである/ロックでない] という弁別作業が不断に行われ, ロック作品がその都度生産されていく (理念的に想定した) 空間を「ロック〈場〉」と呼び, 〈場〉の参与者の社会的な配置構造とそこに生じるダイナミズムを論述することを主たる説明の方法とする。これらの考察を基にして, 最終的に汎用度の高いモデル図を作成し, 社会と音楽の関係性を総合的かつ多角的に把握するための一つの視座を提出する。

言及状況

外部データベース (DOI)

Twitter (8 users, 8 posts, 6 favorites)

https://t.co/GpiTS2lTgT ロック音楽文化の構造分析っての読んだ
https://t.co/o2rvNSOyIH https://t.co/hTN2vxEd3Z
ロックフェスのステージ上飲酒をめぐる議論、南田勝也先生の1998年の社会学評論論文を思い出した。近年のJロック〈場〉における文化的正統性がエンターテイメント指標で優位になってきてる感じなのだろうか。オーディエンスも「プロとしてどうなの」という論調が強そうだしhttps://t.co/1oR4it5lPM
大学生の頃jstageとcinii大好きだったから矢花さんにハマった直後これ読んでた というかTLにたまに論文が飛び交うことがあった https://t.co/6zxANNj74o
ロック音楽文化の構造分析。 人によってロックに対して何を重要視するかは、社会空間の中での地位や居場所で決定するらしい。 https://t.co/gNdEC3dbZ9

収集済み URL リスト