著者
実方 由佳
出版者
一般社団法人 日本社会福祉学会
雑誌
社会福祉学 (ISSN:09110232)
巻号頁・発行日
vol.55, no.2, pp.27-39, 2014-08-31 (Released:2018-07-20)

本研究では実践家の認知を媒介とすることで子ども虐待対応における複数の職種・機関による援助「専門職間連携」の観察を試みた.子ども虐待対応に関わる機会の多い児童相談所,保健所・保健センター,市区町村の児童家庭相談窓口を対象とした質問紙調査から得られた定量的データを用いて因子分析を行った結果,「メンバー間で行う作業」,「メンバーの関係性」,「対象への焦点化」の3つの潜在概念を抽出した.そして,「専門職間連携」の実体認知と「メンバー間で行う作業」と「メンバーの関係性」は相関するが,「対象への焦点化」は疑似相関であることが明らかとなった.この分析結果からクライエントを理解しようとする力動がなくても"連携している"と錯覚する可能性を指摘し,これを"「専門職間連携」の擬態化"と呼称した,この分析結果を知識として理解することにより,実践家の意思によって「対象への焦点化」を強化することも可能と考えられる.

言及状況

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J-STAGE Articles - 子ども虐待対応における「専門職間連携」の擬態化 : 実践家の「専門職間連携」認知を介在させた検証 https://t.co/yzgCpLRzLg

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