著者
加藤 哲久
出版者
日本ウイルス学会
雑誌
ウイルス (ISSN:00426857)
巻号頁・発行日
vol.66, no.1, pp.83-90, 2016-06-25 (Released:2017-05-09)
参考文献数
47
被引用文献数
1 1

単純ヘルペスウイルス1型(Herpes simplex virus type-1;HSV-1)は,軽度で合併症を伴わない粘膜感染から致死的な感染により,広範囲のヒト病態を引き起こす.HSV-1 Us3遺伝子は,α-ヘルペスウイルスに広く保存されるセリン・スレオニンリン酸化酵素をコードしている.次々と蓄積される知見が,Us3はHSV-1感染の極めて重要な制御因子であることを示唆している.しかしながら,Us3が司るHSV-1病態発現能の分子メカニズムは不明なままであった.本稿では,特に生体レベルにおけるUs3の重要性に注目し,HSV-1 Us3の役割に関する現在の知見を概略する.

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