著者
高橋 秀実
出版者
一般社団法人 日本東洋医学会
雑誌
日本東洋医学雑誌 (ISSN:02874857)
巻号頁・発行日
vol.64, no.1, pp.1-9, 2013 (Released:2013-07-20)
参考文献数
8

1990年代に入り,現代免疫学は体内免疫システムを,主として体表面に配置された異物(邪気)に対する記憶形成を伴わない「自然免疫」と血液中を循環し記憶形成をともなう「獲得免疫」に大別し,その認識抗原の実体ならびに機能について研究を展開してきた。一方,2000年以上前に記載された「黄帝内経」には,我々の体内には邪気と闘う「衛気(えき)」と「営気(えいき)」の2つのシステムが構築されており,前者「衛気」は体表面に配置され発汗調節を担い,「濁」である物質群を制御するのに対し,後者「営気」は「清」と呼ばれる純化された物質を選別し「栄養素」として「血管」内に送り込み,血液の運行を含め全身を統御するものであることが記載されている。本総説では,以上の点を踏まえ,「衛気」と自然免疫;「営気」と獲得免疫との関連性について概説し,「東洋医学」と「西洋医学」とを統合した新たな「医学」を模索する上への礎としたい。

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外部データベース (DOI)

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「免疫」というとどうしても「体の中」というイメージだと思いますが、東洋医学では体表面に邪気の侵入を防ぐ「衛気」というバリアが存在します。 西洋医学で言うならこの衛気が「自然免疫」に当たり、この衛気を司るのが肺です。 故に免疫では肺がポイントになる訳です。 https://t.co/DJhuf48S02

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