著者
武田 俊輔
出版者
関西社会学会
雑誌
フォーラム現代社会学 (ISSN:13474057)
巻号頁・発行日
vol.15, pp.18-31, 2016 (Released:2017-06-20)
参考文献数
20
被引用文献数
1

本論文は都市祭礼の担い手たちが、祭礼以外の地域社会における職業生活や日常的な暮らしを通じて構築した社会関係資本をいかにして祭礼に活用しているのかについて、滋賀県長浜市の長浜曳山祭を事例として明らかにする。従来の都市祭礼研究では多くの場合、その分析対象は祭礼の本番やその直接の準備と、それを行う祭礼組織の内部における担い手のネットワークに視点を限定している。しかし祭礼を構成する1人1人の担い手はより広範な都市の社会的ネットワークの中に属し、また当の都市祭礼も人的資源においても資金面でも、担い手以外の様々な人々との結びつきを通じて継承できるのであり、そうしたより広範なネットワークが、祭礼にとって持つ意味を分析する必要がある。本論文ではその点について、祭礼の執行に不可欠な資源である資金調達のメカニズムを検討することで、祭礼の担い手たちが地域社会において醸成している社会関係と祭礼の関係性を分析する。その結果①祭礼パンフレットへの広告協賛金が個々の担い手の社会関係資本の反映であり、②祭礼における協賛金のやりとりを通じて、日常的な関係性もまた保証されていること、③資金調達だけでなく、同じ町内や他町へのパンフレットというメディアにおける社会関係資本の顕示が重要で、それが担い手への社会的評価と結びついていることを示し、祭礼組織の外部に広がる社会関係資本と祭礼との結びつきについて明らかにした。

言及状況

外部データベース (DOI)

はてなブックマーク (1 users, 1 posts)

収集済み URL リスト