- 著者
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欅田 尚樹
- 出版者
- 杏林医学会
- 雑誌
- 杏林医学会雑誌 (ISSN:03685829)
- 巻号頁・発行日
- vol.43, no.1, pp.4-8, 2012 (Released:2012-03-31)
- 参考文献数
- 7
平成23年3月11日に,東日本大震災に伴う津波により東京電力福島第一原子力発電所においては全電源喪失をきたし,その後の一連の事象とともに広範囲な放射性物質による環境汚染が引き起こされた。福島県だけでなく,東北南部や関東地方を含む広い範囲で,土壌,牧草,農産物,畜産物,上下水道など様々な環境汚染を引き起こし,放射性物質に汚染された食に対する不安と懸念が住民に高まっている。本稿では低線量放射線被ばくの健康影響に関する知見を整理し,国際放射線防護委員会ICRPをはじめとする国際機関における放射線防護の考え方を概説するとともに,飲食品の放射性物質に係わる基準値および汚染実態等について述べる。