著者
水野 慎大 金井 隆典
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.107, no.10, pp.2176-2182, 2018-10-10 (Released:2019-10-10)
参考文献数
10

強毒変異株の出現を契機に,難治性の再発性クロストリジウム・ディフィシル感染症(recurrent Clostridium difficile infection:rCDI)が欧米で猛威をふるっている.2013年にオランダのグループがrCDIを対象とした糞便微生物移植(fecal microbiota transplantation:FMT)の臨床試験で画期的な有効性を証明したことで,FMTに注目が集まることとなった.rCDI以外に,炎症性腸疾患,過敏性腸症候群(irritable bowel syndrome:IBS)をはじめとしたさまざまな消化管疾患や肝疾患・精神神経系疾患等も含めた多くの疾患においても,FMTの有用性を探る試みが続けられている.本稿では,rCDIにおけるFMTの成功から5年が経過し,研究の進展に伴って徐々に概念が変化しつつあるFMTの歴史と現状を解説し,将来を見据えたFMTの位置付けについて議論してみたい.

言及状況

外部データベース (DOI)

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>CDに対するFMTの有効性が期待されたが,罹患部位の複雑さ,瘻孔や膿瘍の存在によるFMTの安全性への懸念から,大規模なRCTは行われていない https://t.co/LDmXhnpVDw
J-STAGE Articles - 糞便微生物移植の現状と未来 https://t.co/mt8TMcaZM5

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