著者
野川 貴史 平林 一 小瀧 弘正
出版者
日本神経心理学会
雑誌
神経心理学 (ISSN:09111085)
巻号頁・発行日
vol.32, no.4, pp.347-360, 2016-12-25 (Released:2017-01-18)
参考文献数
19
被引用文献数
1

物体方向失認が三次元的方向変化に対してどのような障害を示すかは分かっていない.本研究では物体方向失認例に対し,様々な角度から撮影した急須を用いた検討を行った.症例は景観と方向のマッチング課題でも弁別課題でも正面,背面,上面,底面がほぼ保たれ,左右側面では低下し,斜め景観では障害が顕著であった.二次元画像面での線形変換による方向変化である正立倒立の弁別,鏡像の弁別,回転像の弁別については,いずれも障害されていた.本症例の方向認知の特徴として,内部表象に内在する方向は把握できるものの,左右や斜め,同じ景観の方向弁別を把握するのに必要な付加的計算,空間座標記述,再定義といったより高度で空間的な情報処理の段階が障害されていると考えられた.さらに景観の形態的類似度の高低も方向判断に影響を及ぼす要因と考えられた.

言及状況

外部データベース (DOI)

Twitter (1 users, 1 posts, 0 favorites)

@usagitoseino 極度の方向音痴はスマホやアプリの問題じゃなくて、高次脳機能障害(左右失認=ゲルストマン症候群)や(物体方向失認)を疑う案件ですしねえ。 ・発達性ゲルストマン症候群の一例 https://t.co/4A34vFgWM9 ・物体方向失認:三次元的方向変化における物体方向認知の検討 https://t.co/GeS1ka2GpT

収集済み URL リスト