著者
久屋 愛実
出版者
日本語学会
雑誌
日本語の研究 (ISSN:13495119)
巻号頁・発行日
vol.12, no.4, pp.69-85, 2016-10-01 (Released:2017-04-03)
参考文献数
45

本研究は,「見かけ上の時間」の概念に基づき,意識調査データから日本人の外来語使用意識の変化を予測する。本稿では,既存語から外来語への交替(「外来語化」)がS字カーブを描いて進行していくと仮定し,生年と性別から外来語化を予測する多変量S字カーブモデルを構築した。外来語化のパターンは,単純増加のS字カーブを描くタイプもあれば,一定まで増加した後10代・20代で若干減少するタイプもあった。後者の最若年層における外来語化率の「低位」は,将来的な脱外来語化を意味するものではないと考えられるため,後者のタイプも前者と共通の単純増加モデルで変化予測が行えるようにした。その際,低位を引き起こす要因を撹乱要因として変数化する手続きが必要であった。この手続きにより,後者のタイプの外来語についても(1)生年のみの効果を抽出できる,(2)変化速度の過小評価を防げる,などのメリットが得られ,より正確な変化予測を行うことができた。

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