著者
加藤 淳二
出版者
一般財団法人 日本消化器病学会
雑誌
日本消化器病学会雑誌 (ISSN:04466586)
巻号頁・発行日
vol.102, no.5, pp.552-558, 2005 (Released:2005-06-14)
参考文献数
20

鉄はすべての細胞にとって必要不可欠な元素である.通常,鉄は細胞内で蛋白質と結合し毒性を発揮しないようになっているが,病的に増加した場合,遊離鉄イオンが生ずる.鉄イオンはフェントン反応などを介して最も毒性の強い活性酸素種の・OHラジカル産生を促進する.・OHラジカルは酸化的DNA損傷をおこし遺伝子変異(発癌)を誘発することが明らかにされている.鉄過剰を来す代表的疾患としては,ヘモクロマトーシスがあるが,それはさまざまな鉄代謝に関連する遺伝子の異常でおこることが明らかにされている.さらに最近,C型肝炎や非アルコール性脂肪性肝炎などでも,肝内鉄過剰が病態進展に関わっている可能性が指摘され注目されている.

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つまり鉄は ROS(・OH)の生成を介してDNA の突然変異を惹起することになる. 鉄代謝異常と発癌 https://t.co/0sZeluebAX

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