著者
道川 恭子 鴻巣 章二
出版者
公益社団法人 日本食品科学工学会
雑誌
日本食品科学工学会誌 (ISSN:1341027X)
巻号頁・発行日
vol.42, no.12, pp.982-988, 1995-12-15 (Released:2009-05-26)
参考文献数
18
被引用文献数
4 7

ホタテガイ貝柱(閉殻筋)の合成エキス中には,苦味アミノ酸といわれているArgが閾値を大幅に超える濃度で含まれているにもかかわらず,そのエキスはほとんど苦味を呈さない.これはエキス成分中にArgの苦味を抑制する成分が存在することによると考え,有効成分の同定を試みた.得られた結果を要約すると次のとおりである.1) まず,ホタテガイに含まれる濃度とほぼ同じ濃度のArg溶液(300mg/100ml)の味質を調べ,甘味を伴う強い苦味を呈することを確かめた.また,その濃度が低くなると苦味に対する甘味の相対的強度が高くなり,濃度により味質が変ることが分った.2) ホタテガイの呈味に重要とされている8成分よりなる合成エキスを用いてオミッションテストを行い,Argが苦味を与えないことを確かめた.3) Argへの他成分の添加および他成分へのArg添加の2種類のアディションテストを行った結果,Argの苦味抑制にGlu, AMPおよびNaClが有効であり,なかでもNaClの効果が最も大きいことが判明した.

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