著者
菅原 悦子 米倉 裕一
出版者
社団法人 日本食品科学工学会
雑誌
日本食品科学工学会誌 (ISSN:1341027X)
巻号頁・発行日
vol.45, no.5, pp.323-329, 1998-05-15 (Released:2009-05-26)
参考文献数
13
被引用文献数
3 10

味噌は原料麹の種類や,味,色の濃淡によって区別され,それぞれ特徴的な香気を持っている.そこで,大豆と米から製造される3種類の米味噌,赤色辛口系米味噌・淡色辛口系米味噌・米甘味噌と,大豆と大麦から製造される麦味噌,大豆のみから製造される豆味噌の香気成分の組成を明らかにし,5種類の味噌の香気形成への原料や製造工程の影響について検討した.香気濃縮物は5種類の味噌,それぞれ8点ずつ合計40点から調製し,ガスクロマトグラフとガスクロマトグラフーマススペクトロメトリーを用いて分析し各香気成分の濃度を算出した.求めた濃度を変数として,統計的に処理した.(1) 5種類の味噌間のガスクロマトグラムのパターン類似率は赤色辛口系米味噌,淡色辛口系米味噌,麦味噌の3種間では極めて高かった.しかし,これら3種類の味噌と豆味噌,米甘味噌の類似率は低かった.(2)赤色辛口系米味噌と淡色辛口系米味噌の比較では有意差が認められた香気成分は1種類のみで両者は極めて類似した香気組成をもつことが判明した.米甘味噌と赤色辛口系との比較では12種類の香気成分で有意差があった.米麹を用いて製造される味噌では,特に発酵過程の有無が香気の特徴を大きく左右することが示唆された.(3) 赤色辛口系米味噌では麦味噌,豆味噌よりフェノール化合物とピラジン化合物の濃度が有意に低かった.豆味噌では赤色辛口系米味噌や麦味噌よりHEMFなどの酵母によって発酵過程で形成される香気成分の濃度が有意に低かった.原料とする麹の種類によって形成される香気成分の種類に差が生じることが示唆された.(4) 4-ethylguaiacolは麹の違いによる,米味噌と豆味噌・麦味噌の香気を判別するのに重要な成分であり,HEMFとmethionolは酵母による発酵の過程を示す重要な成分であることが示唆された.それぞれ特徴的な香気を有するこれら3成分の組み合わせと濃度が各種味噌の香気特性に大きな影響を与えると判断された.

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