著者
横山 桃子 美根 潤 松村 美咲 束本 和紀 岸 和子 竹谷 健
出版者
一般社団法人 日本小児神経学会
雑誌
脳と発達 (ISSN:00290831)
巻号頁・発行日
vol.51, no.1, pp.35-37, 2019 (Released:2019-02-28)
参考文献数
10

マイコプラズマは中枢神経合併症を認めることがあるが, 髄膜炎尿閉症候群の症例は検索する限り認めない. 症例は14歳男子. 発熱, 頭痛, 嘔吐が出現, 髄膜刺激症状を認め, 咽頭のマイコプラズマLAMP法陽性, 髄液細胞数と蛋白の増加より, マイコプラズマに関連した無菌性髄膜炎の診断で入院とした. Minocyclineを投与後尿閉が出現したため, 髄膜炎尿閉症候群と診断して, ステロイドパルス療法を追加した. 発熱, 頭痛, 嘔吐は改善したが, 傾眠傾向が出現した. 覚醒時脳波で徐波を認めたため, 髄膜脳炎と診断し, ガンマグロブリン療法を開始した. その後, 意識状態は改善し, 尿閉も12日間で軽快し, 後遺症なく, 退院した. 本症例はマイコプラズマに対する免疫応答により, 髄膜炎尿閉症候群, 髄膜脳炎を発症したと考えられた. マイコプラズマはself-limitedな疾患であり, 治療の効果と, 自然軽快との判別が難しい場合も多いが, 後遺症を残す重症脳炎の場合もある. 本症例の経験から, マイコプラズマに関連した髄膜炎尿閉症候群に対し, 早期のガンマグロブリン療法を考慮する必要があると思われた.

言及状況

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@meglalala2022 @ka0mc3 マイコプラズマで髄膜炎? それは菌が入ったのではなくて過剰免疫によるサイトカインストームの無菌性髄膜炎です。 その状況だとステロイド一回だけの投与は大正解だったと思います。 下痢になったとしてもね。 脳の方が大事でしょ。 しなかったら脳の後遺症残ったかもよ。 https://t.co/J0yv3bEFbW https://t.co/FqK1UPw4wv

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