著者
永尾 寿浩 菊川 寛史 山下 和彦
出版者
公益社団法人 日本油化学会
雑誌
オレオサイエンス (ISSN:13458949)
巻号頁・発行日
vol.23, no.11, pp.549-558, 2023 (Released:2023-11-08)
参考文献数
42

Staphylococcus aureus(S. aureus,黄色ブドウ球菌)はアトピー性皮膚炎の炎症部で顕著に増加して炎症を増悪化する。一方,健常者の皮膚に多いStaphylococcus epidermidis(S. epidermidis,表皮ブドウ球菌)はS. aureusの生育抑制などの有用機能を保持する。多数の脂肪酸のS. aureusとS. epidermidisに対する抗菌活性を調べたところ,6-cis-C16:1,7-cis-C16:1,および9-cis-C16:1はS. aureusの生育を抑制し,S. epidermidisの生育を抑制しない選択的抗菌活性を保持し,アトピー性皮膚炎の炎症緩和に寄与することが期待される。皮脂中に存在する6-cis-C16:1は天然油脂中に存在しないことから,7-cis-C16:1と9-cis-C16:1を微生物法で生産することを試みた。Aeromonas hydrophilaおよびAcinetobacter sp.は,9-cis-C18:1を含む植物油を基質としたとき,9-cis-C18:1の炭素数を小さくした7-cis-C16:1に変換した。種々の遺伝子組換えを施したSaccharomyces cerevisiaeは高含量の9-cis-C16:1を含む油脂を生産した。さらに精製条件の検討により9-cis-C16:1含量を98%まで高めることができた。また,消費者の認知度の高いBifidobacterium sp. JCM 7042株は菌体内に7-cis-C16:1を生産した。

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