- 著者
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大矢 勝
- 出版者
- 公益社団法人 日本油化学会
- 雑誌
- オレオサイエンス (ISSN:13458949)
- 巻号頁・発行日
- vol.7, no.1, pp.19-26, 2007-01-01 (Released:2013-06-01)
- 参考文献数
- 20
- 被引用文献数
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界面活性剤の水環境への影響は, 水生生物への急性毒性, 生態系への無影響濃度, 生分解性などの項目が取り上げられてきた。従来は個別の項目で各種界面活性剤の優劣が論じられてきたが, 近年は実際の環境中の許容濃度と予測実態濃度とを比較してリスクを評価するようになったが, 最近のレポートによると家庭用洗剤類に用いられる代表的な各種界面活性剤は, 欧州や日本の河川環境に悪影響を及ぼしているとは考えられない。今後は, 硬度などの水質が毒性に及ぼす影響, 界面活性剤が実際の自然環境下で懸濁物質に吸着する特性, 界面活性剤の無影響濃度を急性毒性値から間接的に計算する手法などを考慮したリスク評価法の改善が求められる。界面活性剤のリスク評価は化学物質のリスク評価手法の先進的研究としての意味がある。