著者
小川 顕正
出版者
日本財政学会
雑誌
財政研究 (ISSN:24363421)
巻号頁・発行日
vol.12, pp.187-204, 2016 (Released:2021-08-28)
参考文献数
17

近年,多くの自治体で行政評価が導入されてきたが,これまでの評価手法は個別分野ごとの評価を寄せ集めたものに過ぎなかったため,抜本的な歳出改革を促すには至らなかった。そこで本稿は,予算制約下における各政策への最適な歳出配分割合を定量的に示すとともに,これと実際の歳出配分割合を比較して,神奈川県川崎市における2008年から12年までの歳出配分の効率性を評価した。なお,最適な歳出配分割合を導出するにあたって各政策の住民効用への寄与度(効用ウェイト)を階層化意思決定法(AHP)によって推定したが,この手法を用いて歳出配分を評価したのは本稿が初めてである。分析の結果,民生財や土木財の供給における最適歳出配分割合との乖離とともに,国の行動が自治体の歳出配分行動に影響を与えうることなども示唆された。いずれにせよ,本稿における手法を用いることにより,一律削減などではなく住民の選好に基づいた定量的な歳出改革議論が可能となる。

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