著者
釈 悟震
出版者
日本宗教学会
雑誌
宗教研究 (ISSN:03873293)
巻号頁・発行日
vol.82, no.2, pp.523-546, 2008-09-30 (Released:2017-07-14)

スリランカ仏教は、アショーカ王の時代以来の長い歴史を有する。しかし、この長い同国の仏教の歴史は、決して平坦ではなかった。一六世紀以降のヨーロッパ人によるスリランカ支配は、必然的にキリスト教の布教、とりもなおさず仏教への圧迫さらに弾圧となって現われた。特にイギリスの植民地支配時代、スリランカの仏教は、存亡の危機に直面した。その時、仏教僧侶と二人のキリスト教の牧師との間に、激しい教理論争が繰り広げられた。その結果は仏教が勝利したとされるが、このことがスリランカ仏教復興の原動力となった。特に、仏教の近代化やその復興に功績の大きかったオールコット大佐が、仏教の支援者となったのもこの討論の結果である。そして、彼らの仏教復興運動は、全世界に波及しインドや日本の復興や近代化にも影響を与えた。一九世紀のスリランカの田舎で行われた仏教とキリスト教の討論は、仏教の近代にとって看過できない大きな意味を有するものであった。しかし、この討論についての学術的研究は、殆どなされていない。本稿では、この忘れ去られた仏教の近代化の出発点ともなった討論とその意義について検討する。

言及状況

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@AjaanMark @t_tonii Sorry I missed your Q. Good introduction to the debate here: https://t.co/Brce56ImII
スリランカの仏教回帰運動を引き起こした、仏教とキリスト教の論争:パーナドゥラー論争。 内容としてはキリスト教側の牧師が負けた感じなのだけど、今の神学者ならすらすら回答出来るような内容に上手く回答出来てない印象で少々物足りない(エンタメじゃないかもだが)。 https://t.co/pxtGSfsDxO

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