著者
松山 大
出版者
日本宗教学会
雑誌
宗教研究 (ISSN:03873293)
巻号頁・発行日
vol.96, no.3, pp.53-77, 2022-12-30 (Released:2023-03-30)

本論は、真宗の開祖、親鸞が二双四重の教相判釈において竪超を「大乗真実の教」と記述する事由の検討とその考察を主題とする。親鸞による経の領解方法は二双四重の教相判釈と呼慣わされているが、なかでも、『仏説無量寿経』から導き出される横超が真実であり重要であるとされる。それ以外の経は方便との位置付けが宗派内外で半ば常識である。だが、親鸞自身は『教行信証』「信巻」のいわゆる「横超断四流釈」において、聖道門に於ける頓教である竪超の経文について「大乗真実の教なり」と記述している。この記述さえも方便であるという、矛盾する理解がこれまで続いてきた。そこで本論において、一、菩提心釈と横超断四流釈での記述、二、『愚禿鈔』での記述、三、「化身土巻」真仮分判釈での記述、四、横超断四流釈後の便同弥勒の文における記述、以上の箇所での親鸞による教相判釈を吟味し、これまでとは異なる解釈の可能性を提示している。

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