- 著者
-
伊藤 驍
- 出版者
- The Japanese Society of Snow and Ice
- 雑誌
- 雪氷 (ISSN:03731006)
- 巻号頁・発行日
- vol.43, no.3, pp.137-146, 1981-09-30 (Released:2010-02-05)
- 参考文献数
- 24
秋田県内気象台観測地点のうち,主に80年以上の資料をもつ個所について最大積雪深の時系列特徴や確率分布などについて調査した.この研究により秋田県内の積雪の特徴が次のように整理された.積雪は各河川流域で独立した性格をもつが,地点相関評価によると雄物川流域では互いに地点間の相関が高い.秋田県内の積雪特性を統計量によって分類するとこれが主に3つの地域的特色をもつグループに分割される.ひと冬の積算積雪量は最大積雪深と密接な指数関係にある.これらの確率変数を計算し長期的に展望するといずれも1930年代に寒冬のピークがみられ,秋田県地方にはその前後に寡雪年がみられることから冬の気侯変動と考えられる長周期的性質が存在する.最大積雪深の確率計算によれば,海岸平野部で二重指数確率型が多く,その変動係数は大きいが確率積雪量は小さい.山間部では正規確率型が目立ち変動係数は逆に小さい.また各地には確率計算の適切な方法が見い出された.この方法によって再現期間10年の推定分布図を作製したところ,人工衛星写真による山地積雪状況とも一致した.さらに確率計算では,再現期間の年数増加による精度のバラツキがみられたのでこれについても比較検討した.