著者
志賀 信夫
出版者
社会政策学会
雑誌
社会政策 (ISSN:18831850)
巻号頁・発行日
vol.5, no.1, pp.165-176, 2013-10-30 (Released:2018-02-01)

社会的排除という言葉が使われ始めて久しいが,この社会的排除への取り組みに関する言説をLevitas[2005]は三つに類型化した。現実の社会的包摂戦略はこのなかでも「仕事」を契機として排除された者を統合しようとする言説をその基礎としている。ヨーロッパにおけるワークフェア戦略がまさにそれである。宮本[2006 ; 2009]はワークフェアとアクティベーションを区別し,後者を肯定的に評価している。確かにそれは,実存する社会的包摂戦略のなかではモデルとされるべきものである。しかし,本稿ではこのアクテイベーションの限界を批判的に検討しその連続性において,Lister[2004=2011]が紹介している「社会的包摂ではなく社会参加を」という要求に沿った新たな戦略への結節点を模索する。その際に新たな道の一つとしてAtkinson[1995=2011 ; 1998]の提案する「参加所得」を挙げ,これが必ずしもベーシック・インカムの妥協ではなく,包摂戦略の積極的代替案であることに触れていく。

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社会的包摂戦 略としてのワークフェアの限界と参加所得 https://t.co/tu4vJGPMvO
BIの妥協版と見られているが、むしろBIの欠点を修正し発展させたものと言える。JGPとの相性も良さそうで、雇用だけに限定していない分、射程はより広い。 個人的な備忘録: https://t.co/B2NuiKMGsa

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